第137回「読書感想文について」

名古屋は連日の猛暑で帰る頃にはクタクタになっています。といっても、店内は冷房が効いているので、暑さのせいだけではないような気もします。「大人になると色々あるなぁ」とヒシヒシと感じる今年で42歳の男。子どもたちは「子ども」の頃に目一杯楽しんで欲しいと思います。こうやって書くと大人はつまらないものみたいですが、大人は大人の楽しみがあるので、子どもたちには「今」を楽しんで欲しいと言うことです。

さて、子どもたちが夏休みに入ると店内で盛り上がってくるのが、読み物コーナー。メルヘンハウスを真っ二つに分けるとしたら、手前7割ほどが絵本、奥の3割が読み物のコーナーになります。その奥側に小学生をよく見かけます。そのほとんどの目的が「読書感想文の本探し」。指定された課題図書もあるのですが、自分で選んだ本で書いても良いらしく、必死になってあれでもないこれでもないと色々な本を手に取っています。

読書感想文と言えば、良くも悪くも夏休みの宿題の主役的な存在。僕の小学生の時を思い出すと、あまり良い思い出ではなかった記憶があります。「書かされている」、「書かなければいけない」という思いが強かったように思います。

そもそも「本を読む」と言うことは、強制されるべきことではなく、自らの意思で読むものであり、何と言っても「楽しみ」であります。それを「読んで感想を書きなさい」と言うのは、何の目的があるのでしょう?それが読書推進運動の一環であるとするならば、こんなにおかしなことはない。お店でも楽しそうに読書感想文の本を選んでいる小学生をあまり見かけたことはありません。ただ、中には「読書感想文を褒められてから、本のことが好きになった」と言う小学生もいるので、全てがいけないと言うことではありません。

しかし、書店としては読書感想文の本を探していると言えば手伝わないわけにはいかない。その子の読書量などを聞いて、出来るだけ書きやすいものを手渡すようにしています。そんな時にふと思ったのです。

読書感想「文」でないといけないの?

読書を宿題とするのであれば、その読書について「文」だけでない、表現の自由があったら、もっと小学生たちは楽しんで出来るのではないか?
「読書感想絵」、「読書感想踊り」、「読書感想音楽」など、読書の感想を自由に表現できたら、もっと小学生たちは楽しく取り組めるのではないか?

こんなことを昨晩寝る前に考え出したら、とても面白くなってきました。子どもの本離れが問題になっているのであれば、今の本を取り巻く構造に問題があるわけで、読書感想文などその原因の大きなウエイトを占めていると思います。元々、読書は自由なものだから、感想の表現方法は自由であっていいはず。どうでしょう?

「それでは、読解力が、、、文章力が、、、」などと言う声が聞こえてきそうですが、今一度「本は楽しむもの」と言う原点に帰れないものか、小学生にもっと本の楽しさを伝える手段を模索していきたいと思います。

ちなみに僕が小学校低学年で書いた読書感想文の本は、『おしいれのぼうけん』『びゅんびゅんごまがまわったら』(共に童心社)。今でもメルヘンハウスでこの本を見ると、小学生だった頃の夏休みを思い出します。そして、こう思うのです。

「いいなぁ〜、小学生には夏休みがあって」

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴41年、メルヘンハウス歴3年のかなり遅れてきたルーキー。

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