第9回「ごった煮タウンメモリー」

クロスオーバー not ミクスチャー

僕の家から歩いて10分ぐらいのところに「大須」という街があります。ここは昔から大須観音というやや大きめなお寺さんがあり、昔から賑わっている街です。

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メインアクトの大須観音

大須観音には2つの大きなアーケード街があり、そこには色んな店、人種、世代がクロスオーバーしているのです。着物屋さんがあったかと思うと古着屋さんだったり、ケバブ屋さんがあったかと思うと鰻屋さん、きしめん屋(名古屋っぽい)さんがあったかと思うとブラジル料理屋さん、飲んだくれの爺さんが歩いていたかと思うとアニメのコスプレしたおじさんがいたりと、クロスオーバーというよりはミクスチャーテイストかも。

その昔、よく祖母と一緒にお参りにきたときは、もっと「お年寄りの聖地」、東京でいうと浅草的なイメージで、こんなにミクスチャーしていなかったのですが、僕がちょっと名古屋を留守した23年の間に、街は様変わりしてしまったようです。今となっては、浅草と秋葉原と下北沢を足して割ったけど割り切れなかったような街です。

思い出は「一緒にできるよ!詐欺」

祖母とは、この街にくると必ずアーケード街を一緒にウロウロしました。みたらしを買ったり、きしめんを食べたり、「ベースは三味線より弦が1本多いだけの楽器だから、ベースを買ってくれたらお婆ちゃんと一緒に演奏ができる!」とパンクロックにかなり傾倒していた中学生の頃に、三味線弾きの祖母を騙してベースを買ってもらったりと、大須には祖母との良い思い出しかありません。
そして、ウロウロしながら歓楽街として栄えていた昔の大須の話を聞くのも好きでした。僕は城とか歴史的建造物に行って、その時代に思いを馳せる(妄想)ことが好きで得意なのですが、お年寄りから聞く話も同じように大好きです。「今歩いている場所が昔は〜だった」なんて聞くと大興奮です。

同じような境遇があるなんて、しかも!!!

何故、近所の大須のことをこんなにチンタラ書いているか?それは最近出版された『ひみつのかんかん』(偕成社)という絵本が発端となります。あるキッカケでひいおばあちゃんの過去のひみつを知る、とてもハートフルなお話(詳しくはご自分で読んでみてください)なのですが、この舞台の街がなんと大須!しかも、祖母から聞いていた歓楽街として栄えていた頃の話なのです。この絵本を描いた花山かずみさんは実際にひいおばあちゃんから僕と同じように昔の大須の話を聞いて、それを基にこの絵本が誕生したとのこと。親近感を持たないわけがありません。この絵本を読んで、祖母との思い出がどんどん蘇ってきました。

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オープンカフェnotオープン八百屋

ステキなキッカケをありがとう!

大須は今までも何のあてもなく散歩などに行ってました。でも、こうやって大須を舞台にしている絵本に出合い、それから行く大須は僕のなかでちょっと違います。街は変わったけど、街中の何を見ても祖母を思うことが多くなりました。そして、忘れていた記憶がちょっと蘇ってくるような。今、大須での僕のマイブームは「祖母との思い出探し」。昔からおばあちゃん子であったことは確かですが、今もっとそれが強くなっていて、大須に行くのが楽しくも切ない気もします。しかし、どこかに封じ込められていた思い出が一気に解放された心地よさもあったりします。しばらくの間、こんな思いを楽しむのであります。

おしまい

本文中でご案内した『ひみつのかんかん』(偕成社)は購入いただけます。

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ひみつのかんかん
花山かずみ/作
偕成社
(5才ぐらいから)

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴38年、メルヘンハウス歴0.5年のかなり遅れてきたルーキー。

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営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
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