子どもに学ぶ・本の読み方(186回)『おやすみ、ぼく』

おやすみ、ぼく : アンドリュー ダッド
アンドリュー ダッド / 作
エマ クエイ / 絵
落合 恵子 / 訳
クレヨンハウス

自分のからだのあちこちに呼びかけながら眠りについていく、やさしい毛布のような絵本。「おやすみ」は、眠る前の魔法のことば。「おやすみ、ぼくのあしさん」。おなか、おしり、耳……と、自分のからだ一つひとつに「おやすみ」のことばをかけて、眠ります。きょう一日「ありがとう」と「あしたもよろしくね」を込めて。からだとこころを、そっとほぐしてくれます。大切なあの子に、そして自分にも。

対象年齢 : 2才ぐらいから
1,500円 + 税 購入する

 
 むらさき色の表紙の絵本はちょっとめずらしい。『おやすみ、 ぼく』は、ぼくが自分で自分におやすみを言う絵本です。表紙をめくると、遊びながら眠くなってしまったオランウータンの子を、うしろから抱きかかえるお母さんオランウータンが描かれている。このページを見ただけでちょっと幸せな気持ちになる。

 スヤスヤ眠る子どもの顔をみていると、日中この子にふりまわされていたことも忘れて、幸せな気持ちになったことが私にもあったなあと思い出す。

 子どもたちは、いろんなものに声をかける。お人形に「待っててね」と言ったり、虫さんに「おはよう」と言ったり、お花に「おなか空いてる?」って聞いたり……。この本の中では、「おやすみ ぼくのあしさん きょうも うーんとはしったね」と自分の体に語りかけている。

 児童センターの親子遊びの時間にこの本を読んだら、お母さんたちはひざに抱えている子どもたちのからだを撫ではじめた。ひざ、もも、おなか、おしり……、撫でる所が身体全体に行きわたる。子どもたちはそんなお母さんの腕の中でシーンと静かにこの本をみつめる。

 子どもたちといっても0才から4才までのまだ保育園にも幼稚園にも行っていない子どもたち。ともこ先生にピアノで静かな曲も弾いてもらった。静かで幸せな時間が流れる。オランウータンの子の表情がなんとも言えずかわいい。お母さんたちの顔もゆったりとした笑顔に変わっていく気がした。 

 読み終わると「あ~、ほんとにねむくなっちゃった」と言う子や、本当にお母さんの腕の中で寝てしまった子もいる。

 オランウータンの子どもがすっかり寝てしまったページには、「おやすみ おかあさんもうちょっとだけ そばにいて もうちょっと もうちょっと もうちょっと……」と書かれている。子どもを寝かせてしまってから、まだまだやらなければならないことがいっぱいのお母さんもこれを読んだら、ちょっとゆったりとした気持ちになれるはず。

 「おやすみ」がテーマの本ってたくさんあるけれど、この本は訳者によると「世界中の 眠たい子と まだまだ眠くない子と 眠りたくない子へ」 と書いてあるので、どの子にもあてはまる!秋の静かな夜に、ゆったり読んでみたい1冊です。


         (保育士・M.Yさん)

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