とよたかずひこ – 『とまとさんがね‥』

jk201406a「ひまつぶし? え、ひつまぶし? なんだ、それ?」

12年前、『この本読んで!』という季刊雑誌の特集記事取材でメルヘンハウスにおじゃました。たまたま店内にいらしたお客様に即興の読み聞かせ会などをして、それなりに記事体裁も整ったということでスタッフ一同で打ち上げとなった。三輪さんがその「ひつまぶし」の老舗に案内してくださった。初めて食する料理であった。美味であった。が、要するにウナギの蒲焼きを短冊切りして、お櫃の中でご飯にまぶしているだけなのだろう。だったらそのまま蒲焼きで食ってもいいじゃないか、身もフタもない話だがそう思った。

私は食文化に疎い。こだわりがないというより無粋だ。魚はそのまま焼いたものが、とうふはそのまま冷やっこにしたものが一番、ややこしくした料理より好きだ。それゆえ、自分は食をテーマにした絵本は創れないだろうなと思ってきた。絵本作家にもそれぞれ得意なジャンルがあって、食べることが好き、料理が好きという作家さんの作品は絵のすみずみにまでその迫力がにじみでてきていて、さすがと思わされる。オレはこの分野には手を出すまい……。

自立した赤ちゃんの「ももんちゃんシリーズ」を続けてきていて、ふと、自立した食べ物はどうだろう、という考えが浮かんだ。食べ物が人間の力を借りずに素材そのものの力で食卓にのぼっていく―これならできる。

おにぎりから始まって、たまご、なっとう、とうふ、すいか、りんご、おいも、いちごまで登場した。さて次は何を主人公にしておはなしを創ろうか。トマトに決めた。それからずっと自分はトマトになりきる。トマト、トマト、トマト……最終ページはトマトジュース。できた!と思った。ところができあがったダミーをたまたま見てくださった知り合いの保育園の先生の一言。「今の園の子たち、トマトジュースあんまり好きじゃないのよねえ」

そこからまた格闘が始まった。ダミーのやり直しが続いた。

「さあ、めしあがれ」最終ページのネームである。ここにふさわしい食べ物の絵は?
新刊『とまとさんがね‥』をご覧ください。

プロフィール
豊田 一彦(とよた かずひこ)

1947年宮城県生まれ。
早稲田大学第一文学部卒。
絵本に「うららちゃんのりものえほん」シリーズ(既刊4巻)、「ワニのバルボン」シリーズ(全5巻)、「あかちゃんののりものえほん」シリーズ(全4巻)、「ももんちゃんあそぼう」シリーズ(既刊16巻)他多数。また紙芝居作品も数多く発表している。

おいしいともだち とまとさんがね‥ : とよた かずひこ
とよた かずひこ / 作
童心社

『おにぎりくんがね‥』『たまごさんがね‥』『なっとうさんがね‥』『とうふさんがね‥』など、人気のおいしいともだちシリーズの最新刊(9巻目)です。トマトが二つ、相撲をとっています。ぶつかった激しさでトマトがぐしゃぐしゃになってしまいます。でも心配ご無用!オムライスに乗っかるケチャップに……。

対象年齢 : 2才ぐらいから
900円 + 税 購入する
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お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

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