わからないことは子どもが教えてくれる

メルヘンハウスを開店する前、大学卒業後4年間、僕は機械関係の商社に勤めていました。でも、どうもステージが違うといつも思っていました。そんな中で、大好きだった子どもの本に囲まれた仕事はできないものかと思い始めました。いろいろリサーチしてみると、国内には子どもの本専門店がない、外国にもそれらしきものがない、「よし、これだ」思いは案外簡単に方向転換しました。

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移転前のメルヘンハウス

アメリカ留学で得たことは・・・

ステージが変わる時は、幕間が必要です。ちょっと長い幕間でしたが、1年半のアメリカでの生活を選びました。図書館や書店を見て歩きました。夜はヒスパニック向けの一般教養講座に通うことができました。その中に絵本研究をテーマとする講座があり、とてもいい学びの場となりました。子どもの本って難しいものが結構あるものです。大人の感覚と子どものそれに大きな違いがあるからでしょう。そんな時には、とことん子どもに教えてもらうことに努めることで解決するものだと教えられました。

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移転前のメルヘンハウス

子どもたちはみんな大きくなりたい!

典型的な事例を挙げてみましょう。『三匹のやぎのがらがらどん』(福音館書店)の面白さは、大人の僕にはなかなか分かりませんでした。「とことん……」の気持ちで、来店する子どもに読み聞かせをしたものです。200回近く読んだと思います。いろいろな楽しみ方があるかもしれませんが、「草を食べて太りたい」は、「食べて大きくなりたい」子どもの本能的な欲求を満たしているものと思われます。草をいっぱい食べて満足げな、がらがらどんたちが描かれた最終ページの子どもの気持ちの入れ方はとても強いです。

このことが分かってから子どもたちへの挨拶は、「大きくなったね!」と決めています。どんな声かけよりも喜んでくれます。小さな子でも胸を張って反り返る姿が見られます。

開店当初、お客さんの少なさに驚きましたが、来店する子どもたちとの時間はゆっくりとることができ、「読み聞かせ」もたっぷりできました。今から考えると、経営的なリスクを抱えてはいましたが、この時間がとても楽しく大切で、メルヘンハウスの「子ども観」ができていく時期だったように思います。

メルへンハウス代表 三輪哲

三びきのやぎのがらがらどん : マーシャブラウン
ノルウェーの昔話
マーシャ・ブラウン / 絵
せたていじ/ 訳
福音館書店

山の草をたべて太ろうとする3匹のヤギと、谷川でまちうけるトロル(おに)との対決の物語。物語の構成、リズム、さらに北欧の自然を見事に再現したブラウンの絵、完璧な昔話絵本です。

対象年齢 : 4才ぐらいから
1,100円 + 税 購入する
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お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

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