第23回「志は同じ!」

クリスマスを前にして、ありがたいことにメルヘンハウスには連日たくさんのお客さんが来てくれています。子どもたちは真っ先に自分の好きな本を見つけ、丸太イスに座り楽しそうに本をひろげています。大人たちは、「何をプレゼントしようか?」と店内をグルグル歩き回って頭を悩ませています。しかし、その顔は決して困り顔ではなくみなさん楽しそうな顔をしているのです。そんな顔を見たり、プレゼントの相談を受けると僕もとっても幸せな気分になります。

お芝居を観る!

先週末のことですが、うりんこ劇場にお邪魔して「のぼるはがんばる」というお芝居を観劇してきました。ただ、観劇するだけであれば素直に「楽しい!」とワクワクして出かけるのですが、お芝居が終わった後に、脚本と演出を手掛けた吉田小夏さんとミニトークがあったので、僕の心の中は、ワクワクよりドキドキの方が多くを占めていました。

このミニトークをするにあたり、『のぼるはがんばる』の原作本を読みました。ミニトークのおはなしをいただいた時点でこの本はなんと絶版!「どうやって入手するのよ~?」なんて困っていたら、くんぺい文庫として復刊されており、うりんこのスタッフの方がご丁寧に送ってくださったので読むことが出来たのです(ちなみに金の星社から出ているオリジナルの本は今ではオークションで1万円以上するみたい!)。

この本は数多くの絵本、童話を手掛けていた東君平さんが作者です。46歳という若さでこの世を去った作家ですが、どの作品も良い具合に余白があり、読み手のイマジネーションを大切にしてくれているように思います。とっても本の内容が良かったので、これが実際に立体として目の前で繰り広げられると思うと、すごく楽しみな反面、「この世界観が出てなかったら嫌だなぁ」と少々不安に思うことも。

始まる前に天井みたり、各種装置をチェックするのが好きです!

始まる前に天井みたり、各種装置をチェックするのが好きです!

本の中身が立体化するってことへの不安

はじめてお会いする吉田小夏さんに開演前にご挨拶し、偶然にも僕の高校時代のクラスメイトと芝居仲間だったりして、すぐに打ち解けることが出来ましたが、正直に僕の不安な思いをぶつけてみました。そうすると、吉田さん自身も「原作を読まれている方がどのような感想を持たれるのか、実は私もとても不安です。」とのこと。僕なんかより作り手の方が、何百倍も不安であることは勿論で、しかも初日。気が気でないことだと思います。

さぁ、幕があがり1時間45分ほどのお芝居。感想は「とっても良かった。」とこの一言に尽きます。お芝居は原作を基に、そこからリメイクされているので、登場人物や設定が若干違うものの、僕が思っていたことと見事にリンクするところあり、違うところあり、新たな発見ありと盛りだくさんの内容でした。

アフタートークでは好きなことを好きな言葉でワーワー言ったに過ぎないですが、それが観客の皆さんにどう伝わったか?あの笑いは失笑だったのか?眉間にしわを寄せて聞いていた人は不機嫌だったのか?……色々と考えはしましたが、「言いたいことをちゃんと言う」ということは出来たので、それは良しとしようと思ってます。

セットはシンプルながら、細部のこだわりが!

セットはシンプルながら、細部のこだわりが!

畑違えど、共通項は多数あり!

吉田さんとのトークで印象的だった言葉は、内容云々ではなく「芝居を観る」ということに関してのことで、「肉声を直に楽しむことが大切」と。僕はすぐ自分の立場に置き換えて考えてしまうので、うちのような子どもの本専門店で言えば、「本を直接見て楽しむことが大切」ということになるのかなと考えました。すなわち、まわりの評価に惑わされることなく、自分自身で本を開き、本と一生懸命向き合い、本に描かれていることを体全体で味わう。大げさな言い方になってしまいますが、本の楽しみはこんなことだと思ってます。本を読むという作業はとっても面倒なことで、時間も労力も費やしますが、その時間にこそ「本の楽しみ」があるのだと思います。

畑は違えど、芝居と子どもの本専門店に共通するものは、人とのふれあいと共有。吉田さんはこうも言っていました。「親子で芝居を楽しんでほしい!そして、その感想を親子で語り合ってほしい」と。本でいえば「親子で本を楽しんでほしい!そして、その感想を親子で語り合ってほしい」。なんだか普段あまり交流のないところで、たくさんのヒントとパワーをもらった良い時間を過ごしたのでした。

おしまい

追伸:そうそう、「のぼるはがんばる」は26日(金)までなので、お時間あれば是非とも!

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴38年、メルヘンハウス歴0.5年のかなり遅れてきたルーキー。

 

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営業時間
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定休日
毎週水曜日
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〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
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