子どもに学ぶ・本の読み方(185回)『バナナをもって』

バナナをもって : 浦中 こういち
浦中 こういち / 作
クレヨンハウス

男の子がバナナをもってあそびに行きたいのは、友だちのサルくんのおうち。おうちのドアをノックすると……あれれ!?サルくんじゃない!サルくんのおうちはどこかしら?男の子と一緒にサルくんのおうちをさがしてね!

対象年齢 : 2才ぐらいから
1,000円 + 税 購入する


 小さな男の子が、バナナを持って、さるくんの家を探しながら訪ねるお話です。
 「ここかな ここかな さるくんのおうち」って読むと、子どもたちは「さるくんのお家かな?」って考える。ページをめくるとドアだけが描かれていて、ノックするようになっている。誰の家なのかわかる前に、ワンクッションあるところがいい。

 年長のなおくんはワニの家、ライオンの家が登場した次のページの2階建ての家をみて「わー、ちょっと嫌な予感がする……」と肩をすくめながらノックをする。予想どおりのおばけの家だったのだけれど、お面をかぶった楽しそうなおばけの家族に、ホッとした表情になった。
2度目に読む時からは、どこがさるくんの家なのかはわかっている。でも、期待した通りの絵が出てくるのは、子どもたちにとってうれしいこと。小さな子どもたちが、『いない いない ばあ』を繰り返し楽しむのと同じなのだと思う。だから、1才の子どもたちも自分でノックをしたり、ピンポンポーンと呼鈴を押してみたりして、何度もページをめくって楽しむ。

 この本は言葉や絵がとてもシンプル。そのせいか、子どもたちは絵本の中の動物(おばけは動物じゃないかも?)たちとお話を始めたり、親子の会話も弾んだりする。こうくんは口を開けているワニのページで「ここかな……さるくんのおうち」に「ちがうよ」って答えたり、バナナを食べるページで「おいしいね」ってつぶやいたりしていた。

 年中のあやちゃんは自分で声に出して妹に読んであげていた。「あ・そ・ぼ」って読むところが私よりずっと上手で感心する。そういえば私が子どもの頃は玄関の前で「○○ちゃん あーそーぼー」ってよく友達を誘ったなあ……。

 実は今回、私もこの絵本の制作にかかわらせてもらったので、子どもたちの反応が特にうれしい。ラフが出来た時点で作者の浦中こういちくんとクレヨンハウスの編集者とデザイナーさんと一緒に「この絵はもっとこうした方がいい」とか「ここの言葉は変えた方がいいのでは」などとワイワイと話し合った。それをもとに作者は何度も絵を描き直し、内容を練り直す。

 浦中こういちくんは9年間の保育歴があるので、子どもたちの反応を思い浮かべながら楽しく描いていた。どの絵本もそうだと思うのだけれど、この本も思いのつまった1冊。たくさんの子どもたちに手にとってもらいたいと思う。かかわったからわかるのだけれど、絵の中にちょっとした遊び心が隠れています!子どもたちは気づくかなあ……?

(保育士・M.Yさん)

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