第36回「本を売るお仕事」

本に関わる人の集まり

本屋さんには本があります。その本は出版社が作っています。そして、その本は作家が考えて物語を作り、絵を描きます。要するに、本屋さんに本が並び、みなさんの手元に届くまで、色んな職種の方が、みなさんの手元にある1冊に関わっているのです。

昨夜、その出版社の方々の集まりがあったので参加してきました(集まりという名の親睦会、親睦会という名の飲み会)。児童書の出版社の数はそんなに多くなく、ライバル関係でもありながら、どの出版社も協力しながら仲良く和気あいあいとやっているというなんとも不思議なバランスで、他業種では考えにくい独特な雰囲気なのです。

僕は、昨年の1年間、とある児童書出版社でお勉強をさせていただいており、そのときに知り合った方もたくさんいて、とても楽しい会でした。児童書に何の関係もないどうしようもない話に大笑いし、児童書のこれからの行く末を考え、う〜んと唸ってみたり、同じ「児童書」というキーワードでつながり、話題を共有できるのはステキだなと思いました。

昔は・・・でも今は・・・

昨年もよく耳にした言葉ですが、「昔は飛ぶように本が売れて・・・」なんて話は昨夜も話題にのぼりました。しかし、僕がこの児童書業界に入った昨年から考えれば、それは昔話の類いで、業界の人とお会いするとまずは「厳しいですね〜」というのが、挨拶代わりになっている言葉だったりします。なので、今現在しか知らない僕にとっては、今がどれだけ本が売れていないのか?昔がどれだけ本が売れていたのか?あまり実感がなかったりするのです。

では、何故本が売れなくなったのか?そんなことを本に携わる人間として考えなければいけないと思います。そして、何故本を売らないといけないのか?何故児童書を売るのか?考えれば考えるほど、ものすごく深いところに沈殿していくようです。もっと突き詰めれば、それは生きるとは?というはなしにもなります。

昨夜の会でそんな深いところまではいきませんでしたが、集まりの後の帰路、ある出版社の方とそんなような話をしました。

児童書ってなんだろう?

児童書ってなんだろう?

書店も出版社も児童書をみなさんに売ることを生業としています。となると児童書は商品です。でも商品というのはあまりにも寂しい。では、アートブックという名の作品なのか?はたまた、娯楽なのか?教育書なのか?、児童書というのは色々な顔を持っているのだと思います。

どの顔も決して間違いではありませんし、メルヘンハウスに来てくれるお客さんも、求める顔は千差万別です。もっと言えば、今日はこの顔だけど、今度来るときはこの顔の本にしようと1人のお客さんでも分かれることがあります。そんな、なかなかしっかりとしたカテゴライズのできない「商品」、「作品」の扱いはとっても難しいわけです。様々な矛盾を考え話す帰路は、深いところまでいかなかったと言いながらも、有意義な10分ほどの時間でした。

答えは決して出ませんが、疑問を捨ててしまえばそこでおしまい。児童書にも、自分にも、世の中にも、あらゆることに常に疑問を持ち、もがいて、苦しんで、ぶつかって、理解して、そんなことを繰り返して少しでも答えに近づけるように生きていくことが、有意義な人生なんだと思います。そして、有意義な人生には、同じような疑問を抱いている仲間がいることが重要であり、分かち合える喜びがあるのです。そんな喜びを少し感じた夜だったのでした。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴38年、メルヘンハウス歴0.5年のかなり遅れてきたルーキー。

この記事が気に入ったら
是非 いいね! してください
メルヘンハウスの最新情報をお届けします
人気の記事

Sorry. No data so far.

こちらもいかがですか?
  • 名称未設定-1
    第140回「読書の秋は忙しい!」

    2歳4ヶ月の創作話が面白い! 11月に入りました。秋は「読書の秋」と言われていますが、お陰さまで大忙し!「大人の絵本遠足」は毎週入っていて、多い時には週3回も開催することもあります。また、講演会にお呼びいただくことも多く…

  • 07-0310_01
    第139回「好きなこと(本)を好きなだけ!」

    車、電車の絵本がスキ! 9月に入りました。8月は夏休みということもあり、たくさんの子どもたちがメルヘンハウスに遊びにきてくれました。子どもの本専門店として、やっぱり子どもたちが大勢いる店内は賑やかで良いですね。今月は「読…

  • 『ともだち』
谷川俊太郎/文・和田誠/絵
(玉川大学出版部)
    第138回「かけがえのないもの」

    今日という日 今日は終戦記念日です。もう72年になるようですが、この日になると亡くなった祖母のことを思い出します。祖母が話してくれたのは、戦時中の苦しい生活や辛い出来事。毎年同じ話でしたが、小学生ぐらいからずっと聞いてい…

  • おしいれ
    第137回「読書感想文について」

    名古屋は連日の猛暑で帰る頃にはクタクタになっています。といっても、店内は冷房が効いているので、暑さのせいだけではないような気もします。「大人になると色々あるなぁ」とヒシヒシと感じる今年で42歳の男。子どもたちは「子ども」…

  • 『とべバッタ』
田島征三/作
偕成社
    第136回「栄養素の未来」

    「若さ」に触れると言うのは一つの栄養素 梅雨入りしてから、なんだか心も体がスライムのような気分です。「シャキッ!」とガリガリ君のようなシャープさがあれば良いのですが、そうもいきません。また梅雨が終われば、暑い夏がやってき…

おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

イベントページでご確認ください。

サイト内検索