第7回「子どもってレベルが高いのよね!」

あこがれの長新太さんに会う。

開店して10年の頃に、あこがれの絵本作家、長新太さんにお会いする機会がありました。ある出版社の創業記念のパーティーに招かれ上京した時です。たくさんのお客様に圧倒された僕は、宴がひと段落した時、となりに長新太さんがいたのに気がつきびっくりしました。興奮しながらもあらためてご挨拶させていただきました。「君がメルヘンハウスの三輪さんですか。よく頑張っていますね」と、おほめの言葉をいただきパーティーの片隅でゆっくり話ができました。

長さんから「ところで僕の本はメルヘンハウスで売れていますか?」とさりげなく聞かれ、あわててしまいました。実を言いますと、長さんの作品は、子どもは大喜びするのに大人には難解なのです。大人が苦手とするユーモアやナンセンスのジャンルが多いのです。ですから財布のひもは緩まず、悔しいですが、「売れています!」とは言えません。でも子どもには圧倒的に支持されていますので、「子どもは大喜びしています」と、答えにならない返事をするしかありませんでした。

移転前のメルヘンハウス

移転前のメルヘンハウス

大人にもわかるようにレベルを落とす!?

そのことに気づかれたのか「やっぱり売れていないんだね」と言われました。そのまま引きさがることができない僕は、「子どもは大喜びしています」の一点張りでした。しばらく間をおいて長さん曰く「僕の絵本は子どもと向かい合って作ってあるからレベルが高いのです。売れるようにするには、大人にもわかるようにレベルを落とさなければね」と、話されました。一見ジョークのようであり、気をつけなければ聞き流してしまいそうな短い話ですが、アルコールは消え失せ、背筋がピンと張るような思いをさせられました。

子ども側に立ちたい!

本を通して子どもの感性の優位性を見てきた僕は、自分の想いを長さんのこの言葉がまとめてくれたように思いました。それ以来大事にしている文言です。「字を覚える、勉強ができるように、いい子になるためのしつけができる」ことなどを子どもの本に期待する大人と、楽しい世界を創造し背中に大きな羽をつけて飛び回ることを楽しむ子ども、いつも子ども側に立ちたいと思っている僕は長さんのことを尊敬しています。

皆さんも試しに、『キャベツくん』(文研出版)、『ごろごろにゃーん』(福音館書店)を子どものように楽しめるまで何回も見てみましょう。

代表 三輪哲

キャベツくん : 長新太
長新太 / 作
長新太/ 絵
文研出版

お腹がすいてキャベツを食べたいブタヤマさん。キャベツくんはぼくを食べるとキャベツになるよという。そんなブタヤマさんの姿が空に浮かんでいる。じゃあへびが食べたら?ライオンが食べたら?キャベツくんとブタヤマさんの会話が楽しい、想像する面白さを満喫できる絵本。

対象年齢 : 4才ぐらいから
1,300円 + 税 購入する
ごろごろにゃーん : 長新太
長新太 / 作
長新太/ 絵
福音館書店

飛行機は猫で満席。ごろごろ言うのは飛行機。にゃーんにゃーん鳴くのは猫。ふたつあわせてごろごろにゃーん。斬新、奇抜、愉快が同居した長新太の快作!

対象年齢 : 2才ぐらいから
800円 + 税 購入する
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おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

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