スタッフの この本読んで!-世界でいちばん最初のともだち-

 幼い頃、寝る時に親指をしゃぶる癖がありました。それも絶対に左手の親指じゃなきゃだめ。長きに渡りしゃぶり続けてこしらえた“タコ”が、自分の口にぴったりフィットするんですね。それでようやく安心して眠りへと誘われるのです。思えばそんな頃から『ゆびくん』にはお世話になっていました。

 表紙の女の子の人差し指に顔がついています。ゆびくんです。朝起きて女の子とゆびくんは「おはよう」と挨拶をします。青いシャツに着替えて「すてきでしょ」「うん とっても」。朝ごはんも一緒にムシャムシャ。探し物もゆびくんと協力して見つけます。楽器も息を合わせて一緒に奏で、パズルに頭を悩ませたり、絵を描いたり。手を洗って、おいしいアイスクリームを食べて、外に出て遊んで……。「またあしたあそぼうね、おやすみゆびくん」と言って一日が終わります。
はっとしました。この絵本に出てくる人間は女の子ひとりなのに、まるで仲良しの友だちと一日たっぷり遊んでいたような充実感と楽しさが溢れていたからです。何をするにも体の中で一番使うのが指なのは当たり前にわかっていたことですが、その指を一番身近な友だちのように描いた作者の目のつけどころに唸らされました。なんでもない普通の一日でも、ゆびくんと一緒に過ごしているという見方ひとつで、楽しくなったり心強くなるから不思議です。それによく見ると、女の子とゆびくんはいつも同じ表情をしているんです。起き抜けの眠たい顔、楽しい時やおいしい時の笑顔、ゆびくんがケガをしてしまった時はふたりして涙を流します。豊かな表情が愛らしいゆびくんと女の子の生活に、私は羨ましい気持ちでいっぱいになっていました。

 生まれたての赤ちゃんにとって初めて見る自分の体、一番近くにある自分の体が手ではないでしょうか。私たちにとって、一番最初の遊び相手がゆびくんなのかもしれませんね。生まれる前から今もずっと一緒のゆびくん。楽しい時も、悲しい時も、がんばり時も同じ気持ちを共有してきてくれました。時にはゆびくんの方が勇気を出して選択したり、意思を表してくれたこともあったと思います。小さい頃はもっと手を使って遊んだなぁと思い出し、今は書店で働くがゆえ、水分を奪われささくれが出来たり、時に切れてしまっている自分の指先を見て、「ああ、ごめんね、痛いよね。もっと大事にするからこれからもよろしくね、ゆびくん」と語りかけたくなるのでした。そしてこのページを一緒に書いてくれてありがとう、と。みなさんもこの絵本と出合って、ゆびくんという素敵で頼もしい存在を知って欲しいです。

(スタッフU・N)

ゆびくん : 五味 太郎
五味 太郎/ 作
岩崎書店

指のいろいろなうごきを表現して、それを子どもの生活のなかで、一番身近で親しいともだちのように描いた楽しい絵本です。

対象年齢 : 4才ぐらいから
1,100円 + 税 購入する
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