スギヤマ カナヨ さん-『ぼくのまちをつくろう!』

スギヤマ カナヨ さん

スギヤマ カナヨ さん

 この本は構想から形になるまで3年かかりました。きっかけとなったのは東日本大震災です。震災から3ヶ月後、『漁師さんの森づくり』、『山に木を植えました』(共に講談社)でご一緒した畠山重篤さんを訪ねて気仙沼に行きました。映像では見ていたものの、がれきの山と空襲の跡地のようになった町を目の当たりにして言葉を失いました。寄付やボランティア、できることはやりましたが、それとは違う私にできる何かはないだろうかと自問し続けました。でも被災した人達の声を耳にするたびに、その深い悲しみ、つらさに「寄り添う」ことすらおこがましく、むやみに何かしてはいけないような気になりました。

 そんな中、編集者のKさんが「絵本をつくりませんか?」と声をかけてくれました。最初の打ち合わせで、密かに温めていた『ぼくのまちをつくろう!』の種を話してみると、漠然としていたにもかかわらず、Kさんは耳を傾け「いいじゃないですか。やってみましょう」と言ってくれました。
この本に関して一番大事にしたものは「コンセプト」。直球で語るのではなく、そっとエールを送りつづけるようなものにしたいと思いました。人はどんなに多くのものを奪われようとも、想像する力は奪いとられることはない、思い描くことが希望につながってほしい、そんな願いを込めました。

 ヴィジュアルは「子どもが積み木で遊びながら世界を広げていくようなイメージ」。そう思ったら自ずと切り貼りの手法になりました。こだわったのは全ページを手作業で作り上げるということ。肩こりや腰痛はいつものことですが、つらかったのはぐんと老眼が進んでしまったこと。こんなに苦しい想いをして作った本はありませんでした。でも、何かを作るとき、新しいことを始めるときはいつもゼロからです。この本も、まっさらなところから始まりました。「ここになにがあったらいいかな?」思い描きつづけたものが形になったのです!

プロフィール
スギヤマ カナヨ(すぎやま かなよ)

静岡県三島市生まれ。東京学芸大学初等科美術卒業後、ステーショナリーの会社へデザイナーとして就職。1990年よりフリーランスとなり、アート・スチューデント・リーグ・オブ・ニューヨークでエッチングを学ぶ。以後たくさんの多才な作品を手掛ける。

ぼくのまちをつくろう! : スギヤマ カナヨ
スギヤマ カナヨ / 作
理論社

真っ白な紙の上に、ぼくが住みたい町を思い描きます。ここに何があったらいいかな?まずは、ぼくの家。それから友だちの家。探検できる森。秘密基地をつく ろう。それから、レストランや、デパートや、公園もほしいな。公園では、どんな遊びができるだろう。ページをめくるごとにアイテムが増えて、ぼくの町がだ んだん出来上がっていきます。子どもの自由な発想で、自分らしい町をつくる絵本です。

対象年齢 : 5才ぐらいから
1,400円 + 税 購入する
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営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

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