第7回「偉大なる 松谷みよ子さん」

 松谷みよ子さんが2月28日にお亡くなりになりました。赤ちゃん絵本『いないいないばあ』から、幼年文学、民話の再話、そして社会性の高い児童文学等、松谷さんは幅広い分野でご活躍でした。心からご冥福をお祈りいたします。

 数々の松谷さんの作品の中で、私は『おときときつねと栗の花』に心惹かれます。

 主人公の東京生まれ、東京育ちのおときが、一人称で語るかたちでお話が進みます。

 両親が亡くなり遠い親戚のところに子守奉公に出るのですが、つらいこともあり、東京に帰りたいと思っていた夢うつつの時、ハッと気づくとそこは東京浅草の縁日。村では狐にばかされたか、天狗にさらわれたかと大騒ぎで探し回っていると、山の木の間でかすり傷も負わない姿で見つかった……。これは松谷さんが岐阜県の恵那で聞いた話からヒントを得て、書き上げられたものだそうです。

 表題作の他、7編ありますが、そのどれもが不思議で悲しくておそろしいお話ばかりです。十にもならないうちから子守をしなくてはならないような身の上のおときが語るお話は、恵那だけでなく、別の地域の人たちから聞いたお話がもとになっています。現代を生きる私たちには、はかりしれない様な人々の暮らし。不思議だけど、幻ではない、本当の暮らしに少しおののきながら、私は目を離せないのです。

 『おときときつねと栗の花』は、実はとてもこわい話なのではないかと思います。

 

松永 みどり
大学時代に児童文学を学び、その頃からメルヘンハウスに通いつめる。今では勤続30年をこえる超ベテラン。長年に渡りブッククラブの選書を担当し、数多くの 子どもたちの心に響く本を選び抜いてきた。社内でも本選びに困ったスタッフから度々相談を持ちかけられるなど、信頼も厚い。プライベートでは2人の娘を持つ母親。野球とテニスが好きで、言わずもがな読書が大好き。

おときときつねと栗の花 : 松谷 みよ子
松谷 みよ子/ 作
西山 三郎/ 絵
偕成社

家の倒産から、東京生まれの少女おときは、山深い村で子守となった。そこで見聞きしたふしぎな話、悲しい話、おそろしい話などを「あったこと」として語りきかせる、著者が長年追いつづけてきた現代の民話の世界。

対象年齢 : 小学上級から
1,300円 + 税 購入する
いないいないばあ : 松谷 みよ子
松谷 みよ子/ 作
瀬川 康男 / 絵
童心社

赤ちゃんとする遊び「いないいないばあ」。ねこが顔を隠して「いないいない……」次ページで手を大きく広げて顔を見せて「ばあ」。くまもねずみも「いないいないばあ」。ページめくりの楽しさがあります。

対象年齢 : 赤ちゃんから
700円 + 税 購入する
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