第59回「子どもたちによい本を!」

『子どもと本』を読む

ゴールデンウィークの最終日、みなさんはいかがお過ごしでしょう?僕はず〜っとメルヘンハウスにいます。この大型連休、たくさんの子どもたちと「はじめまして!」をしました。やっぱり子どもがたくさんいる、子どもの本専門店は良いですね。

平日はいつも車で通勤していますが、土日祝日は地下鉄を利用しています。この日記の初期の方にも書きましたが、僕は地下鉄が好きです。地下鉄は読書に最適空間だと思っていて、たった片道10分弱の道のりですが、とってもページがはかどります。普段は土日限定の地下鉄読書も、5日間連続でできました。そして、今読んでいる本は、児童書界では知らない人がいないと思われる、数えられないほどの著書と翻訳を手がける松岡享子さんが書かれた『子どもと本』(岩波新書)。

松岡

 

松岡さんご自身の幼少の読書体験にはじまり、アメリカの図書館での司書生活、日本での図書館、文庫などの経験を基に、タイトル通り「子どもと本」の関係性をわかりやすく書いてあり、同じ児童書界に身を置く者として(まだまだ新米もいいとこですが・・・)、色々と参考になることが多数書かれています。

「よい本」ってなんだろう?

その中でも気になったのが、「よい本」の定義について。これは僕の父が43年前にメルヘンハウスをオープンした当初から変わらない基本理念である、「子どもたちによい本を!」という言葉をひも解く大きなヒントがあるかも!とワクワクしながら読みました。そして、こんな一節が。

「読者と関係なく、はじめからよい本があるのではなく、ひとりの読者がある本に出合って、それがなんらかのよい結果を生んだとき、その本は、その人にとって「よい本」になるのだと思います。」(『子どもと本』より)

「よい本」とは、まず大人が判断しがちですが、実際に手に取った子どもが判断するものだと。これについてはメルヘンハウスも、ロングセラーの本を中心に選書し子どもたちに紹介しているのは、まさにそのようなことが理由です(新刊のなかにも素晴らしい本はたくさんあります)。僕の仕事はその「よい本」との出合いの演出であると考えています。

そして、「これはよい本です!」と紹介するのでなく、子どもによい結果を生みそうな本を、出来るだけ幅広く紹介することが大切だと思います(何をして結果というか?そのことについては、色々な認識や見解があると思いますが、僕は結果=読書体験と認識しています。)。021

本を紹介する手段は・・・

その幅広く紹介する場として「おはなし会」があったり、「おはなしひろば」があります。最近ではありがたいことに「おはなし会」の時間に合わせて来てくれてるお客さんも多く、毎回満員御礼!です。読む方もとても気合いが入るし、何よりもたくさんの子どもたちと楽しみを共有したい!と思っています。また、全く異なる趣向として、より少数の子どもたちに向き合って本を紹介していく「おはなしひろば」も、徐々にではありますが、認知されてきているようです。

より多くの子どもたちに「よい本」を届けるために、まだまだやることがたくさんある!そんなことを思ったゴールデンウィーク。昨日は子どもたちが主役の「こどもの日」。しかし、メルヘンハウスはこれからも毎日「こどもの日」なのです。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

 

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