武田 美穂さん-『となりのせきの ますだくん』

「世代を超えた共感」を作品に

takedamiho

武田 美穂さん

 「となりのせきのますだくんは、なぜロングセラーになったか?」今回そうお題を提示されて「ええー? ますだくんって、ロングセラーなんだ?」あらためて奥付をみると、初版が1991年11月。そっか、出してからもう24年も経つんですね。 

 きっかけは、当時の担当編集者さんに締切を設定されて、プレッシャーでなにも書けず、「あー、やだなー。逃げたいな。頭痛くなったとか、熱が出たっていっちゃおうかな」と、それをそのまま原稿にしちゃったのでした。何も知らない担当氏は「武田さん、これって児童文学の普遍的テーマだよ!」と、ベタ褒めしてくれました!

 ただ、わたしが、小学生だったころとの違いもありました。たとえば、机。「ますだくんは、つくえにせんをひいて、ここからでたらぶつぞってにらむの」というフレーズは、わたし世代の共通体験からきたものです。当時はふたり机で、新一年生がはじめてそこに座るとき、すでにセンターに歴代の「ここからでるな」ラインが刻まれていて、それを踏襲して、陣地争いすることになるわけです。でも、「今の机はね、小学生でも、セパレート、ひとりひとつなんだよ」と言われて、、、うっ。「だけど、やる子もいるかもしれないから、机二つにして描いてみれば?」表紙にも使ったあのシーンは、そんな条件つきでOKが出たのでした。

 けど、ふたを開けてみたら「わたしのとなりの○○くんも、これやる!(怒り)」「ぼくのとなりの子もノートがでたといっては、ぼくをぶつ。」といった、言いつけ口調のファンレターがわんさ。世代がこんなに離れていても、子どもってやつは、同じことするんだなー、と、段ボールいっぱいの手紙をうれしさと、可笑しさでしみじみ眺めました。

 「学校へ行きたくない」気分も、ちょっと気になる隣の子にわざといじわるしちゃうのも、昨日の喧嘩にくよくよしたり、びくびくしたりするのも同じなんだ!この世代を超えた共感が今に至るまで、わたしの作品作りの原動力になっています。

いまでも思いのこもったお手紙をいただける、幸せな本です。

プロフィール
武田 美穂(たけだみほ)

1959年東京生まれ。日大芸術学部油絵科中退。絵本の作品に『スーパー仮面はつよいのだ』『ふしぎのおうちはドキドキなのだ』「ますだくんシリーズ」(いずれもポプラ社)など多数。太い描線で力強い作風が特徴。

となりのせきのますだくん : 武田 美穂
武田 美穂/作
ポプラ社

今日学校へ行くのやだな。昨日、隣の席のますだ君とけんかしたから。いつも、ちょっかいを出してくるますだ君は、みほちゃんから見たら怪獣のよう。大胆でユニークなコマ割りの絵で、子どもの不安や気持ちの変化を見事にとらえた絵本です。

対象年齢 : 5才ぐらいから
1,200円 + 税 購入する
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営業時間
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定休日
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住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
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※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
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