第9回「こんな体験してみたいと思いませんか?」

夏は、海!山!そして、キャンプ!
と連想する人もきっと多いことでしょう。

私は小さいころから家にいることが多く、キャンプの楽しさなど、全く知らなかったのですが、アーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』を読んだ時、なんて面白いのだろう、と心がワクワクしてきました。
ジョン、スーザン、ティティ、ロジャのウオーカーきょうだいとナンシイ、ペギイのブラケット姉妹。彼らはテントを張って、簡単な煮炊きをするだけで、ただ、野外で遊ぶというのではなく、湖に小帆船を浮かべ、それを巧みに操りながら、湖の中の無人島でキャンプをするのです。

もともとブラケット姉妹はこの地域に住んでいて、ヤマネコ島と名付けたこの島でキャンプをしていたのですが、そこへある夏、ウォーカーきょうだいがこの島にやって来るのです。そこでジョンたちの帆船であるツバメ号とナンシイたちのアマゾン号、どちらが旗艦になるか戦ったり、屋形船に住んでいるナンシイたちのおじさんを海賊にみたててみたり、宝探しをしたり、とスリル満点の体験をするのです。

『ツバメ号とアマゾン号 上』 アーサー・ランサム/作 神宮 輝夫/訳 岩波少年文庫 (小学上級から)

『ツバメ号とアマゾン号 上』
アーサー・ランサム/作
神宮 輝夫/訳
岩波少年文庫
(小学上級から)

規律もあり、年上の者は年下の面倒をみますし、年下はちゃんと上のいう事に従います。それは、少なからず身の危険が伴っているからです。遊びなのですが、遊び半分ではないのです。だからこそ、現実味があり、物語が奥深くなっていると思います。一級の冒険物語です。主人公たちがすべて子どもたちだなんて全く思えません。長編にもかかわらず、夢中になって読んで、続きが読みたくなり、2巻目の『ツバメの谷』を手に取る……。そんな具合で、大学生の時、シリーズ12巻をあっという間に読み切ってしまいました。

日常のように、食事を用意したり、洗い物をしたり、ということもあるけれど、でもそれでいて、ちょっと非日常。楽しさは子どもたちの空想力で果てしなく広がる……。私もこんなキャンプを一度は体験してみたいなと、この本を読み返した今も思います。

『ツバメ号とアマゾン号 下』 アーサー・ランサム/作 神宮 輝夫/訳 岩波少年文庫 (小学上級から)

『ツバメ号とアマゾン号 下』
アーサー・ランサム/作
神宮 輝夫/訳
岩波少年文庫
(小学上級から)

松永 みどり
大学時代に児童文学を学び、その頃からメルヘンハウスに通いつめる。今では勤続30年をこえる超ベテラン。長年に渡りブッククラブの選書を担当し、数多くの 子どもたちの心に響く本を選び抜いてきた。社内でも本選びに困ったスタッフから度々相談を持ちかけられるなど、信頼も厚い。プライベートでは2人の娘を持つ母親。野球とテニスが好きで、言わずもがな読書が大好き。

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