第80回「どんどん思い出になっていく」

池袋駅には思い出がいっぱい。

東京の池袋駅には高校時代にずいぶんとお世話になりました。中学生活までは名古屋で過ごし、高校からは埼玉県の飯能市というところにある、自由の森学園に進学したからです。この高校に進学したからこそ、今の僕の人生、交友関係があります。そして、それは一生の宝物。もし、違う高校に進学していたら、全く違う人生を歩んでいたに違いありません。

話は戻り、池袋駅にお世話になったというのは、池袋駅は言わば埼玉県からする東京の玄関のような駅だからです。自由の森学園のある飯能市までは、池袋から西部池袋線という電車が走っており、東京に買い物やライブを観にいったり遊びに行く際は、まずはほとんど池袋に出ました。

池袋でよく行った店は、WAVEとリブロ池袋本店です。WAVEは今はなきレコードショップで、池袋のWAVEでCDやレコードを買うことが高校生の僕にとっては、一大事でした。まだまだ、試聴なども数多く出来る時代ではなく、ジャケットの雰囲気と日本盤であれば帯の2行ほどの情報を元に、イマジン炸裂のいわゆる「ジャケ買い」をしていた時代です。ましてや、お小遣いなど限られたもので、東京に出るだけで電車賃など片道500円以上は使うわけで、ジャケ買いの手集中度や時間のかけ具合など、今では考えられないものでした。

リブロ池袋本店にはお世話になりました!

そんなWAVEの斜め向かいにあったのが、リブロ池袋本店でした。僕の中での大きな書店の代名詞は、リブロ池袋本店と紀伊国屋書店 新宿本店と東京駅の八重洲ブックセンター、この3つです。リブロは昔から何だか大きなオシャレな本屋さんというイメージ。リブロ池袋本店には、洋書のアートブック、写真集がたくさんあって、英語もわからず、意味なども不明。でも、「見ている」、「手にとっている」だけで、先端のカルチャーに触れている高揚感を持ったのは鮮明に覚えています。20年以上前の話ですから、まだまだ町の本屋さんがあった時代です。その差にとてもビックリしていました。

そんなリブロ池袋本店が昨日閉店しました。とっくの昔にWAVEは閉店し、今度はリブロ池袋本店がなくなってしまいました。40年生きていると、さすがに町の雰囲気が変わっていくことを感じないことはありません。商店街がなくなり、ちょっと郊外に大型スーパーが出来て、角にあった駄菓子屋さん、クリーニングさんはコンビニ、大きな空き地はコインパーキングに。時代が変われば町も変わる、店も変わる、なくなるのは当たり前。でも、その場所にあった思い出の行き場はどこに?

リブロ池袋本店の思い出は、僕なんかよりもっと沢山の思い出を持った人が大勢いると思います。そして、リブロ池袋本店の跡地に他の書店がはいるようなので、「本屋がまたなくなる!」ということではありません。でも、リブロ池袋本店ではなくなる。リブロ池袋本店だからこそ本を買っていた人もいるはずです。どこの書店でも本が手に入れば良いということではないと思うし、もしそうだとしたら、個性がなく味気ない冷たい本屋でしかないわけで・・・。

あのリブロの青い袋にいれてもらって帰る喜び、あのマークが好きだ!とか、本云々というよりは、ひとつのアイテムとしての価値もあったかと思います。リブロで買った!というステータス。下世話な話かも知れませんが、そんなことってあると思います。ブランド品を手にいれるのと変わらない側面が少なからず書店の価値の一面にあっても良いと思っています。

足下を見直してみる

リブロは40年、メルヘンハウスは今年で43年目。ほぼ同い年の書店がまひとつなくなった寂しさを感じながら、メルヘンハウスの行く末を考えました。そして、出た結論は、「子どもたちに良い本を!」という基本理念を、今一度噛み締めて日々大切に子どもたちと接することだと痛感しました。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

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お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

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