第83回「絵本はジーンズのようなものではないか?」

「本当にメルヘンハウスですね!」

もう毎日暑い暑い!挨拶は必ず「暑いですね〜!」からはじまります。僕の小学生の頃って(30年ほど前!)、こんなに暑かったかな?本当に温暖化が進んでいるんじゃないかな(進んでいるでしょう)?と思う今日この頃です。

しかし、こんな暑い中でも子どもたちは元気に夏休みを満喫しているようで、ここ10日ぐらい、元気な子どもたちがたくさんメルヘンハウスに来てくれます。子どもがたくさんいるメルヘンハウスは本当に活気があってワクワクする。昨日なんて、はじめてきたお客さんに「本当にメルヘンハウスですね!」と言われて、とっても嬉しかったのです。

破れない本もありますが・・・

さてさて、メルヘンハウスでは他の本屋さんではあまり見られない光景があります。それはスタッフがお客さんに積極的に声をかけること。本屋は静かにしていなければならない!なんて常識はメルヘンハウスにありません。僕らの常識は、子どもたちに自由に本を開いてほしい!ということ。(これは誤解を受け易いことですが、決して何をしても良いということではありません。子どもが店内を走ったり、本を乱暴に扱ったら必ず注意をします。)

お客さんに声をかける中で、特に0才〜2才の子どもたちのお母さんからよく言われることは、「子どもがすぐ本をやぶいてしまうので、破れない本をほしい」と。そんなときは、ボードブックといって、厚紙のようなもので出来た本を紹介しますが、その時には必ず一言付け加えます。

「ボードブックは丈夫で簡単に破れたりしませんが、本がどうやったら破れるってことを知ることも大切なことだと思います。」

この一言で、ボードブックではなく普通に製本された本に選び直したお母さんたちはたくさんいます。

「破ったら大変!」、「本を壊したらどうしよう?」と読む前にリスク回避の思考がお母さんたちにあるようです。そのようなことばかり続くと、子どもたちはどうやったら破れるか?何をしたら本が壊れるか?ということを知らぬまま。果たしてこれで良いのだろうか?と僕は思います。

「乱暴に扱うと破れるよ!引っ張るとページが抜けるよ!」と周囲の大人たちがしっかりと教えてあげることが大切であり、実際に子どもはどうやったら破れるか経験したほうが良いと思う。そして、破れたところを不格好でもテープで補修したりして続けて楽しむべきでは?と。

ジーパンは補修だらけ、でも味がある。

そんなことを考えていると、ふとジーパンのことを思い出しました。僕は破れたジーパンをもっています。そして履いています。ジーパンはずっと履いているとインディゴブルーが薄くなって、太ももあたりにはヒゲといって線が入ってくる。そうすると、どんどん体型に馴染んでくる。膝は破れるし、靴と擦れてロールアップしているところは解れてくる。普通のズボンであれば、ここで「さよなら〜!」となってしまいますが、ジーパンはそうではない。裏から当て布をして補修すると、その補修した箇所も「味」になる。一時期「ヴィンテージジーンズ」なるものが流行って、何百万ものジーンズが世に出てましたが、そうでなくとも自分で補修し履き続ければ、立派なヴィンテージになり、愛着も湧きます。

本とジーンズを一緒にするのは少々無理があるとしても、本やモノってそんな側面もあるんじゃないかな?って思います。

ビリビリになってもボロボロになっても、大切にて手元に持っておいてほしい。本には思い出が宿り、いつかその思い出が蘇るときに、とても至福な時を過ごすのです。そして、次の世代へ受け継がれたりもします。

僕は最近、人前で絵本と子どもについて、お話をさせていただく機会があります。その際に持参する絵本の数々は、父が今まで同じような講演会で使用していた絵本たちです。日焼けして色が変わり、ページも取れてしまいそうな本もたくさんありますが、父の今までやってきたことの結晶がここにたくさん詰まっています。そんな本を使ってお話をすると、なんだか落ち着いたりします。と書くと、「三輪哲!まさか!」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、相変わらず父は健在です!

何十年選手の本たち

何十年選手の本たち

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

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定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
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