第84回「戦争について」

夏休みっていいなぁ〜

夏休みっていいなぁ。毎日子どもたちは何をやっているんだろう?僕の小学生の時の夏休みは、野球やって、遊んで、プール行って、ちょっとだけ宿題してと、今考えると、とっても幸せな生活でした。しかし、小学生の頃は「暇だなぁ、早く大人になって働きたいなぁ、そして好きなものを好きなだけ食べたり、買ったりしたいなぁ」と不純な理由で大人の世界に憧れていました。そんな憧れも何処へいったのか?「子どもはいいなぁ〜」と思う日々が続きます。

8月に入ると、テレビなどでも「戦争」を取り上げることが増えてきます。この「戦争」とは主に第二次世界大戦のこと。そして、今年は戦後70年ということもあり、例年よりもクローズアップされているような気もします。メルヘンハウスでは、僕が入社する前から必ず「戦争」を特集する棚を作り、多くの子どもたちに、伝えてきました。また、夏だけではなく、通年を通して「戦争と平和を考える」というコーナーがあります。

「戦争」は祖母と沖縄の思い出

今年のメルヘンハウスはひとつの本棚を「戦争ってどんなこと?」と題して、あらゆる「戦争」に関する本を集めました。Facebookでもお知らせしたところ、とても大きな反響をいただきました。今、世の中では色々なことが起きていますが、やはり関心が高いことなんだなぁと実感したのでした。

僕のなかで「戦争」という言葉は、祖母との思い出です。毎年、お盆になると静岡の祖母に家に親戚中が集まり、宴会が繰り広げられていました。近くの神社ではお祭りもあり、本当に楽しかったステキな思い出です。親戚が集まるのは大体お昼過ぎかで、8月15日の午前中、つまりは終戦記念日の午前中は祖母に戦時中の話を聞くのが僕の定番行事でした。僕以外の親戚もいたはずですが、「お婆ちゃん、毎年同じ話〜!」って、結局僕が毎年繰り返される同じ話を聞く役目だったのです。

しかし、毎年聞く同じ話は、僕にとっては退屈なものではなく、いつもなんとも言えない切ない気持ちになることを期待していたような気がします。話の内容はこんなこと。戦時中に台湾にいたお婆ちゃん家族(僕の父を含む)は、特攻隊の飛行場近くに住んでいました。特攻隊の若者は休みの日に子どもたち(僕のおじさん、おばさん)とよく遊んでくれていました。そして、出撃の前日になると必ず挨拶に来てくれて、「明日、この家の上を旋回する飛行機が僕です。」と告げたようでした。それは暗黙の別れの挨拶であり、とても胸が苦しい思いをしたと。戦後は満員の引き上げ船で帰ってきて・・・。

繰り返される「戦争」の話。最初はチンプンカンプンでしたが、年々「戦争」を少しずつ知ることにより、感情が揺さぶられるようになり、祖母に色々と質問をするようになりました。「戦争」の話での祖母とのコミュニケーション。僕はそんな時間が好きだったのかもしれません。

また、僕は「沖縄に住みたい!」という安易な理由で、沖縄の大学に進学しました。沖縄はご存知の通り、日本で唯一の地上戦がおこなわれた場所です。そのため、有名なひめゆりの塔をはじめ、いくつもの戦跡があります。友達が沖縄に遊びにくる度に、ひめゆりの塔がある沖縄南部まで足をのばしたので、もしかしたら沖縄の人より行った回数が多いかもしれません。

「戦争」という言葉は・・・

「戦争」という言葉を発すること、とても慎重であると思います。安易に賛成!反対!など、口にすることがタブーのようになってもいます。それは職業によっても違うでしょう。ミュージシャンは音楽で意思表示をする人もいます。僕は本屋です。しかし、メルヘンハウスは僕のものではありません。メルヘンハウスの三輪丈太郎が発することが必ずしも、メルヘンハウスとしての見解でないこと、意思表示でないことをまずはご理解いただきたいと思います。

そのうえで、僕個人は「戦争」は反対です。では、メルヘンハウスで「戦争」の棚はどんな思いで並べているの?となると思いますが、「まずは子どもたちに知ってほしい」という思いで並べました。「戦争なんてダメにきまってるよ!」というのは簡単です。では、何故ダメなのか?を知ってほしい。知る機会をしっかりと用意したいということです。

僕は、祖母の話や沖縄での生活において「戦争」を知りました。まだまだ知らないことも多いですし、実体験はありませんが、人と土地が教えてくれた。ならば僕は、本でその機会をつくりたい。本にこだわりたい。職業ってそんなことなんだと思います。そもそも自分の得意分野、もしくは興味のあることを生業にしている人は、そのフィルターを通して自己表現をしているのだと。

戦後70年、戦争を体験された方たちが高齢となり、語り継がれる場が少なくなってきているといわれています。もちろん、実体験のある方のお話ほど貴重なものはないのは承知ですが、伝えていく手段はたくさんあるのだと。今の僕は本を選んでます。

まずは、子どもたちに知ってもらうこと。そして、その先は子どもたちが様々な人に出会い、様々なモノに触れ、自分の意見を持っていくものだと思います。その根底にある土台つくりのお手伝いが、“子どもの本専門店”の役割だと思ってます。あくまでも個人的な見解ですが。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

 

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定休日
毎週水曜日
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※駐車場は店の裏手に5台
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TEL
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