第86回「父と子の会話」

いまだに父は、「お父さん」

僕は今年で40才になりますが、未だに父親のことを「お父さん」と読んでいます。「親父!」とか「おふくろ!」なんて言うことが出来ず、「お父さん」、「お母さん」です。特に恥ずかしいということでもありませんが、少しだけ違和感を感じながら呼んでいます。

そんなお父さんは、メルヘンハウスでの仕事のうえでは大先輩でもあるので、最近、僕ら親子はこんな会話が多いのです。

「お父さん、この絵本の面白さってどんなとこ?」

自分で考えても答えが出ないことを先輩に訪ねます。そうすると「これはな〜」と、その絵本と子どものエピソードも含め話してくれるのですが、その話が本当に面白いのです。なので、「お父さん、これは?」「お父さん、こっちは?」なんて調子にのってどんどん聞くのです。この時間がとても楽しいのです。

話題はドラゴンズから児童書へ

僕は高校生のときから家を離れているので、お父さんをはじめ家族と過ごした期間は15年ほどしかありません。昨年23年ぶりに名古屋に戻りましたが、一緒に住んではいないので、家での会話というものは久しくしていません。高校生の時は夏休みなど家に帰っていましたが、共通の話題は中日ドラゴンズのことぐらいで他にはそんなに話をしなかったのだと思います。

しかし、今は「児童書」という共通の話題があります。最近はその話題が増えているのです。ひとつは、メルヘンハウスに入り1年5ヶ月、本当に少しずつですが本の種類や傾向を覚えだしたこと、あとは実際にメルヘンハウスに来る子どもたちが手に取って読んでいる本を見て「何が面白いんだろう?」とわからない時が増えてきたことにあると思います。

このホームページでの一番人気の連載は「メルヘンハウス物語」です。お父さんが43年前にはじめた小さな子どもの本専門店メルヘンハウスの回想録です。この連載はとても面白くて評判が良いのですが、実は一番楽しみにしているのは僕なんだと思ってます。現在、月2回ぐらいのペースで更新していますが、「もっと書いて!」といつもお父さんを急かしています。これを読むと子どもたちとのエピソードが満載なのです。大学などで児童文学や教育を専攻していたわけでもないお父さんは、すべてメルヘンハウスという現場での実践で得てきたことです。僕は今それを引き継ごうと必死なわけです。

過去を今を融合して未来はワクワク

もちろん、僕自体のこの1年5ヶ月の経験もあります。僕の経験していることと、お父さんが培ってきたものを融合させると、とてもワクワクしてしまうのです。このワクワクを一人でも多くの人たちに伝えていきたいのです。それが子どもの本専門店の仕事だとも思います。

時代が変われば人の考え方や状況も変わります。この10年間ぐらいはまさしく変化の時期だと思っています。それもものすごいスピードで変化しています。その中で何を変えて良いのか?何を大切に変えないようにして守っていかなければならないのか?しっかり見極めていく必要があると思います。

僕が今お父さんに色々と聞いていることの中に、そのヒントは隠されているのだといつも思うです。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

この記事が気に入ったら
是非 いいね! してください
メルヘンハウスの最新情報をお届けします
人気の記事

Sorry. No data so far.

こちらもいかがですか?
  • 名称未設定-1
    第140回「読書の秋は忙しい!」

    2歳4ヶ月の創作話が面白い! 11月に入りました。秋は「読書の秋」と言われていますが、お陰さまで大忙し!「大人の絵本遠足」は毎週入っていて、多い時には週3回も開催することもあります。また、講演会にお呼びいただくことも多く…

  • 07-0310_01
    第139回「好きなこと(本)を好きなだけ!」

    車、電車の絵本がスキ! 9月に入りました。8月は夏休みということもあり、たくさんの子どもたちがメルヘンハウスに遊びにきてくれました。子どもの本専門店として、やっぱり子どもたちが大勢いる店内は賑やかで良いですね。今月は「読…

  • 『ともだち』
谷川俊太郎/文・和田誠/絵
(玉川大学出版部)
    第138回「かけがえのないもの」

    今日という日 今日は終戦記念日です。もう72年になるようですが、この日になると亡くなった祖母のことを思い出します。祖母が話してくれたのは、戦時中の苦しい生活や辛い出来事。毎年同じ話でしたが、小学生ぐらいからずっと聞いてい…

  • おしいれ
    第137回「読書感想文について」

    名古屋は連日の猛暑で帰る頃にはクタクタになっています。といっても、店内は冷房が効いているので、暑さのせいだけではないような気もします。「大人になると色々あるなぁ」とヒシヒシと感じる今年で42歳の男。子どもたちは「子ども」…

  • 『とべバッタ』
田島征三/作
偕成社
    第136回「栄養素の未来」

    「若さ」に触れると言うのは一つの栄養素 梅雨入りしてから、なんだか心も体がスライムのような気分です。「シャキッ!」とガリガリ君のようなシャープさがあれば良いのですが、そうもいきません。また梅雨が終われば、暑い夏がやってき…

おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

イベントページでご確認ください。

サイト内検索