第18回「ラジオで絵本を紹介」

「ビジュアルな絵本を、果たしてラジオでうまく紹介できるだろうか?」地元のラジオ局CBC(中部日本放送)から出演依頼があった時、まずこんなことが頭をよぎりました。新番組で「○○石鹸提供・○○奥様メモカルト」という月~金の帯番組です。私の出番は、毎週火曜日、朝八時台ということでした。迷ったのですが、児童書の好きなプロデューサーの情熱と、感性豊かなパーソナリティーの相方Sさんの聡明さがあって引き受けることにしました。とりあえず一年契約でしたが、この時点でまさかこの番組が八年も続くとは、思いもよりませんでした。

選書と紹介方法は、すべて任されました。Sさんとの掛け合いもほとんどアドリブで、楽しくやれました。当初の「ラジオで出来るかな?」の懸念は全く必要ありませんでした。絵本の楽しさが感じ取れるよう、二人の会話が進めばしめたものです。紹介した絵本は、スポンサーの○○石鹸が毎週5冊買いあげてくれて抽選で聴取者にプレゼントするシステムになっていました。プレゼント目当ても少数ありましたが、毎週500通ほどの応募がありました。家事をしながらの女性、通勤自動車の中で聞いているお父さん、幅広い年齢の方々が耳を傾けてくださり、ハガキで応募してくれました。

ごみ箱の中にいた瀕死の小さな子ネズミのセレスティーヌを助けて、大事に育てる大きなクマのアーネストおじさん。ドラマチックな出会いに始まる無償の愛を描いた『セレスティーヌ』(BL出版)を紹介した時には、たくさんのハガキが寄せられました。当選者の中に70才ぐらいのおばあさんがいました。とても素敵な女性で、御礼の手紙をくださいました。こんな主旨の手紙です。「たかが子どもの本、と思っていましたが、とんでもありませんでした。深くて大きな愛をセピア一色でうたい上げた絵本に、今までにない感動を覚えました。絵本って子どもだけではなく、大人にとってもすばらしいものですね。これからは絵本を読みなおそうと思っています。自分のために……」

『セレスティーヌ』 ガブリエル・バンサン/作 BL出版

『セレスティーヌ』
ガブリエル・バンサン/作
BL出版

これがご縁で頻繁にお店に来て下さるようになりました。そして何よりも嬉しかったのは、ご自分の絵本の本棚を設けられたことです。子どもの本の読者は、「0才から100才まで」と表現した出版社がありましたが、うまく表現したものです。

この番組を通して、もうひとつメルヘンハウスの大事な仕事を発見しました。それは子どもの本の読者に大人も取り込むことです。そうすれば読書の楽しさは、自然に子どもにフィードバックしていくことになるからです。

代表 三輪哲

この記事が気に入ったら
是非 いいね! してください
メルヘンハウスの最新情報をお届けします
人気の記事
  • メルヘンハウスは2018年3月31日をもって閉店いたします。
    メルヘンハウスは2018年3月31日をもって閉店いたします。
    2018年3月31日、メルヘンハウスは45年と5日の長きにわたる書店活動を閉めることとなりました。 「一人でも多くの子どもに読書の喜びを」をスローガンに、国内初の子どもの本専門店として立ちあげま...
  • 2歳の絵本。絶対におすすめの10冊。
    2歳の絵本。絶対におすすめの10冊。
    photo by Leon Wilson 2歳になると、言葉や色々なものを覚えてきます。基本的な生活習慣が形成され、一人で色んなことが出来るようになってくる時期です。そんな時期だからこそ、絵本の...
  • 【読み聞かせ】低学年におすすめの絵本10冊
    【読み聞かせ】低学年におすすめの絵本10冊
    photo by MIKI Yoshihito 自分の子どもへの読み聞かせはもちろん、小学校のボランティアや町内の子ども会など、意外と機会があるのが、低学年の子どもへの読み聞かせです。 でも、...
  • 絵本の読み聞かせの本当の効果とコツ
    絵本の読み聞かせの本当の効果とコツ
    「絵本読んで!」 子どもにせがまれて、絵本を読んであげる。いわゆる読み聞かせですが、これもご両親の大事な仕事の1つですよね。ただ、喜んでくれるのは嬉しいけれど、忙しい毎日の中で、何度も同じ絵...
  • 泣ける絵本。大人も感動する絵本10冊
    泣ける絵本。大人も感動する絵本10冊
    あなたは、どんな時に感動したり、泣いたりしますか? 映画で思わず泣いてしまったという人は多いかもしれませんが、絵本でも泣ける内容の感動的なストーリーがたくさんあります。 この記事では、子どもだ...
こちらもいかがですか?
  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第40回「子どもの本で、戦争と平和を考える」

    毎年、この時期の恒例のコーナー 毎年8月になると、店内ブックメニューのコーナーは、「子どもの本で、戦争と平和を考える」となります。開店以来毎年ですから40回以上継続している企画です。戦後も70年余となりますと、戦争経験者…

  • %e6%9c%ac%e5%b1%b1%e5%ba%97%e8%88%972
    第39回「すべてのものに生命を」

    パペット(人形)で遊ぶ子どもたち メルヘンハウスに入ってすぐのところに絵本のキャラクターのパペット(人形)がいくつか置いてあります。子どもたちの集中力がなくなってきた時、パペットで遊んで一息入れる役目を果たしています。 …

  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第38回「ヤングアダルトおすすめの難しさ」

    読者と本を橋渡しする仕事 小学上級から中学生ぐらいになると、「おじさん、この間すすめてくれた本、とてもおもしろかったよ。おじさんが教えてくれなかったら、きっと読まずに行ってしまったと思うよ」、こんなお礼を言われることがあ…

  • %e6%9c%ac%e5%b1%b1%e5%ba%97%e8%88%972
    第37回「ロングセラーは子どもがつくる」

    大人にとっての難しい絵本の一冊 僕の大好きな絵本に、『もこ もこもこ』(文研出版)があります。大型絵本、見開き一画面の色鮮やかな抽象画、「しーん」、「もこもこ」、「にょき」、「もぐもぐ」……などの擬態語だけで構成されてい…

  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第36回「子どもはお話づくりの名人」

    小学校4年生の仲良し3人組の女の子 メルヘンハウスは、当初東山動物園のそばにありました。 大人の足で歩いて10分あれば行ける距離です。近くには同じ名前の東山小学校がありました。店には動物園帰りの親子や、東山小学校の子ども…

おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

イベントページでご確認ください。

サイト内検索