第95回「本から学ぶこと」

5連休が終わったと思ったら土日がきて・・・世の中は休みだらけ!と思っていた先週。今週から世の中がようやく普通に戻った気がします。みなさんはどんな休日を過ごしたことでしょうか?僕は毎日メルヘンハウスで色々なお客さんとお話をしたり、本を一緒に選んだり、おはなし会をしたりしていました。

そんななかで、通勤する地下鉄に乗っている時間に『子ブタ シープピッグ』(評論社)という本を読みました。この本はメルヘンハウスのブッククラブの4年生コースのプログラムにも入っているのですが、ユーモアがありながら痛快な面白い物語です。

羊を飼っている牧場へ、いずれは食べられる運命となる子ブタのベイブがやってくることから、おはなしははじまります。牧場には羊を追いかけたりするシープドッグ(牧羊犬)がいるのですが、その犬から様々な手ほどきを受け立派なシープピッグ?になるまでの物語です。実はこのおはなし、後から知ったのですが映画「ベイブ」の原作のようです(僕は映画を観てません・・・)。

『子ブタ シープピッグ』 ディック・キング=スミス/作 アリー・レイナー/絵 木原 悦子/訳 評論社

『子ブタ シープピッグ』
ディック・キング=スミス/作
アリー・レイナー/絵
木原 悦子/訳
評論社

この本の中に書かれている世界は何も子どもだけでなく、大人にも何か訴えかけるものがあります。それはあからさまに表現されているわけではありませんが、確実に読み取ることが出来ます。少なくとも僕はこの本を読んで、とっても自分が恥ずかしくなったし、「このままではダメだ!」と落ち込みました。今の自分をそのままこの本の中に投げ込んだ結果のことです。

でも、子どもたちはどうなんだろう?例えばブッククラブで手元に届いて読んだ子どもたちは、一体何を感じたのだろう?ふとそんなことを思ったのです。僕が4年生だった時ってどんな感じだったかな?なんて思い出しながら、大人になった僕なんかみたいに難しく考えるのではなく、子ブタのベイブのかわいらしさや優しさや強さを感じ、痛快な物語を純粋に楽しむのかな?なんて色々と想像をすると、本を手渡す書店員として、なんだかとても幸せな気分になります。そして、もちろん本を読むにあたり適齢はありますが、やっぱり出来るだけ早くこの本に出合って欲しいなぁとも思います。

良い本を読んだり、良い映画を観たり、良い音楽を聴いたりすることって、とても大切にしたいことです。本を読んでいる時間、そして読み終わった後の余韻の時間、途中まで読んで、続きを読むまでのワクワクしている時間などを人生のなかで少しでも多く持っていたい。その時間は結果としてすぐにわかることではなく、目に見えるものでもないので、なかなか理解されることが難しい時間ではあるのですが、そんな時間ってたのしいよ!って子どもたちに伝えるのが、僕の仕事なのではないか?と思います。

この連休で多くの子どもたちに出会い、その子どもたちが新しい本と出合う瞬間に何度も立ち会い、たくさんの本と出合う機会をもっともっと多くしてあげたいなぁと強く思ったのでした。そのためにはメルヘンハウスだけでなく、全国の本屋さんや子どもに携わる大人たち、そして子どもたちと一緒に新たなムーブメントを今一度起こせないか?なんてことを妄想し想像し、一歩ずつ着実にやっていくのです。その土壌は少しずつ出来てきているように体感しています。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

 

 

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