親子で感動するフクロウの絵本『ちょっとだけまいご』

文章の長い絵本だけど、子どもの反応に笑ってしまった。

絵本にはめずらしい色合いに、文章もちょっと長いのだけれど、就園まえの親子が20組いるところで読んでみた。子どもたちは、フクロウの子どもが木からおちるところで「あーっ」と声をあげる。リスがかけよってきて、「ありゃりゃ、 おまえさん だいじょうぶかい?」とフレンドリーにフクロウの子どもに声をかけてくれたので、心配していた子どもたちはホッとした顔になった。

「ぼくの ママ どこにいるの? どこかいっちゃった」と読むと、ゆうくんは「まいごだな」とつぶやく。子どもたちにとって“まいご”になるっていうのは、私が思っている以上に身近なことなのだと思う。昨日小学生に読んだときは、1年生のみうちゃんが「いま、木から落ちただけでしょ~」としょうがないなあという風にフクロウの子どもに声をかけていたので、笑ってしまった。

『ちょっとだけまいご』 クリス・ホートン/作 木坂涼/訳 BL出版

『ちょっとだけまいご』
クリス・ホートン/作
木坂涼/訳
BL出版

親子で感動する絵本

文章が長いと思ったのだけれど、会話が身近でわかりやすく、読んでいるわたしも思わず、手振り身振りをつけたくなってしまう。ママは大きいというところで「こーんなに」と両手を広げてみせたり、耳がとんがっているというところでは、本をおいて耳を手でつくってみたり……。子どもたちは真剣な顔で心配していだけれど、目が大きいというだけで、カエルを指さして「ほらね いただろ?きみの かあちゃんだ」とリスが言うと、あおいくんがそれはちがうでしょと言わんばかりに「カエルじゃん」と言い、みんなから笑いが。 でも、ママが見つかって「ママ!ママ!ぼくのママ!」とママも涙をながしながらの再会のページでまたシーンとなる。終わってからみーちゃんのお母さんが、「この本いいですね」と手にとって静かにページをめくっていた。

絵本に込められたメッセージとは?

余談になりますが、私はこの本を手にすると、扉に描かれた「父と母へ愛をこめて」という為書きをまず読むことにしている。そこには、ダニエル・デフォー著『ロビンソン・クルーソー』から、この絵本の作者C・ホートンが引用した“私たちは自分の置かれている状況がなかなか見えない。正反対の状況と比べられなければ。また、自分がどんなに恵まれているか、失ってはじめてわかるのだ”という言葉が書かれている。今の平和がちゃんと続きますようにと、読むたびに思うから……。

保育士M.Y

保育士 M.Yさん
愛知県生まれ。1980年より公立保育園に勤める。保育士歴は、30年以上。現在は児童センターにて日々子どもたちと向き合っている。日本保育学会員。保育現場であらゆる児童書を子どもたちに読み、実際の子どもたちの反応などを基に、児童書と子どもに関わりについて思考を巡らす情熱的な保育士。児童書に関わるイベントや美術館など全国を飛び回り、今もなお、新しい児童書との出合いを大切にしている。趣味は馬頭琴を弾くことと陶芸。

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