第97回「未来の絵本作家」

子どもが描いた(書いた)絵本を読む!

朝晩涼しい!というか寒くなってきました。季節の変わり目、風邪などひかぬようにせねばと思っていますが、特に予防や対策をしているわけではありません。「病は気から!」に頼らず、何が現実的な方法を考えようと思います。

少し前にメルヘンハウスでとあるお母さんとこんな話をしました。

「うちの子どもは年長さんなんですが、実は絵本を描いているんです!」
「すごいですね〜!今度見せてくださいよ!」

その時は、詳細を聞かずにどんな絵本を描いているかなど全く予想がつきませんでしたし、ちょっとした立ち話でもあったので、失礼ながら遠い記憶の方まで行ってしまっていたのですが、つい先日、「絵本を持ってきました!」とお母さんと作者である年長の女の子とお父さんと家族で来てくれました。

その絵本とは、その女の子が描いた絵を写真に撮って、写真屋さんで製本してもらったとのこと。要はオリジナルアルバムを絵本にしたようです。まずはそんな技術があることに驚き、「世の中進んでるなぁ」と感心。早速スタッフで回し読みをして、僕が読む番がきました。

「すごい!」

ページをめくるたびに、その想像力の豊かさやオリジナリティのあるお話に圧倒されてしまいました。そのオリジナル絵本には、複数のお話が入っています。お誕生日プレゼントに関するお話だったり、アリが主人公のお話だったり、お母さんは謙遜して「話は矛盾しているんですけどね・・・」なんて仰ってましたが、いえいえ、ものすごく面白いんです!面白いだけでなく「よく考えたなぁ」と感心することも。改めて子どもの偉大さを知ることになりました。

昔、不純な理由で絵本に挑戦してことも・・・

むかしむかしのおはなし。一時期「絵本作家にでもなって、お気楽に楽しく人生過ごしたいなぁ」と、今このメルヘンハウスにいることが恥ずかしくなるぐらい、軽く薄っぺらな考えを持って絵本を描いたことがあります。いや、描こうと思ったことがあるといったほうが正しいですね。そのときは、特に描きたいものがあったわけでなく、モノは見方によって形が変わるということをクール(無機質)に表現できないものかと、買ったばかりのMacintoshでマウスを動かしながら描きました。自分でなかなかの出来栄えではないかと、東京から父にダミーを送り、「後は出版社さえ決まれば・・・」なんて思っていたら、父から「甘い!」と送り返されました。しかも、父の「俺ならこうする」ダミーと一緒に。

そう、僕は絵本を描きたかったわけでなく、楽しく絵でも描きながら生活をしたかっただけなのです。そのときは、必死になって『絵本の書き方』(朝日文庫)を読んでみたりしましたが、そこに激しく燃える情熱があったわけでもないので、全然頭に入ってくることはありませんでした。もっというと生意気に「創作は教わるものではない!」と少し小馬鹿にしながらページをめくっていたのだと思います。とても愚かなことです。今この本を読んだらとても良いかもしれないので、読み返してみようかと思っています。

『絵本の書き方』 エレン・E.M. ロバーツ/著 大出健・椋田直子/訳 朝日新聞社

『絵本の書き方』
エレン・E.M. ロバーツ/著
大出健・椋田直子/訳
朝日新聞社

この絵本をいつかメルヘンハウスの本棚に。

女の子の絵本を見ながら、こんな恥ずかしい過去を思い出しました。女の子の絵本には、僕のような不純物は一切なく、そこにあるのは「描きたい!」、「楽しい!」とシンプルながらもとっても大切なことばかり。これから先、絵本だけでなく色々な新しい可能性に出合うことだと思います。もし絵本を書くことが続いていたら、そして、発表することが出来たときには、真っ先にメルヘンハウス店頭に置きたいと思いました。そのためにも、このメルヘンハウスをこれから先、何十年とやっていけるようにせねばと心に誓うのでした。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

この記事が気に入ったら
是非 いいね! してください
メルヘンハウスの最新情報をお届けします
人気の記事

Sorry. No data so far.

こちらもいかがですか?
  • 名称未設定-1
    第140回「読書の秋は忙しい!」

    2歳4ヶ月の創作話が面白い! 11月に入りました。秋は「読書の秋」と言われていますが、お陰さまで大忙し!「大人の絵本遠足」は毎週入っていて、多い時には週3回も開催することもあります。また、講演会にお呼びいただくことも多く…

  • 07-0310_01
    第139回「好きなこと(本)を好きなだけ!」

    車、電車の絵本がスキ! 9月に入りました。8月は夏休みということもあり、たくさんの子どもたちがメルヘンハウスに遊びにきてくれました。子どもの本専門店として、やっぱり子どもたちが大勢いる店内は賑やかで良いですね。今月は「読…

  • 『ともだち』
谷川俊太郎/文・和田誠/絵
(玉川大学出版部)
    第138回「かけがえのないもの」

    今日という日 今日は終戦記念日です。もう72年になるようですが、この日になると亡くなった祖母のことを思い出します。祖母が話してくれたのは、戦時中の苦しい生活や辛い出来事。毎年同じ話でしたが、小学生ぐらいからずっと聞いてい…

  • おしいれ
    第137回「読書感想文について」

    名古屋は連日の猛暑で帰る頃にはクタクタになっています。といっても、店内は冷房が効いているので、暑さのせいだけではないような気もします。「大人になると色々あるなぁ」とヒシヒシと感じる今年で42歳の男。子どもたちは「子ども」…

  • 『とべバッタ』
田島征三/作
偕成社
    第136回「栄養素の未来」

    「若さ」に触れると言うのは一つの栄養素 梅雨入りしてから、なんだか心も体がスライムのような気分です。「シャキッ!」とガリガリ君のようなシャープさがあれば良いのですが、そうもいきません。また梅雨が終われば、暑い夏がやってき…

おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

イベントページでご確認ください。

サイト内検索