第21回「子どもの本移動販売車の試み」

マイクロバスを改造した移動販売車

「一人でも多くの子どもに本を届けたい」、私たちメルヘンハウスの大切なコンセプトです。そのためにいろいろな試みをしてきました。移動販売車もその一つです。

自動車の型式は図書館のブックモービルの書店仕様です。15人乗りの中古マイクロバスを探してきました。椅子を取り外し、書棚をつける作業は、少しでも安く仕上げようと私も修理工場に出向き、手伝いをしたものでした。

大人気の走る本屋さん。その名は「ノアノア号」!

2カ月ほどかけて出来上がった移動販売車に、深い意味はありませんが「ノアノア号」と命名しました(その頃読んでいたゴーギャンのタヒチ滞在記『ノアノア』にちなんで)。要請があれば700冊の本を載せてどこへでも出向き、店を開くことができます。お客様のご来店を待つよりこちらから出向く積極性が喜ばれました。そして何よりも行く先々で子どもたちが「走る本屋さん」として喜んで集まってくれました。雨さえ降らなければ、青空の下で盛り上がる「読み聞かせ」も楽しい時間です。ちょっとですが、I.B.シンガーの『お話を運んだ馬』(岩波少年文庫)の主人公、お話の名手ナフタリになった気分です。

珍しさも手伝ってか、結構たくさんの引き合い(出前要請)がありました。県をまたいだ静岡県や、岐阜県山間部の町や村、遠い所では滋賀県琵琶湖の北まで走ったものです。子どもと本は、出合いの機会さえつくってやればいい形に収まるものだと痛感しました。とてもやりがいのある面白い試みでした。

大変なことは多々ありましたが、楽しい時間でした。

「ノアノア号」の活躍は2年半で終わることになります。もともと思いついたら何でもやってしまう性格からスタートしているので、失敗はたくさんありました。まずは、本の貯蔵棚は動かないことが基本なのに、大地震以上の自動車の振動を常に受けて、傷みが早く来ること。印刷物は直射日光を極力避けなければならないのに、それへの配慮がたりできなかったこと。急な雨で、本がぬれた時などは、本は致命的な損耗品へとかわってしまいます。

もともと本の販売利益は2割あるか無しかというところです。ですから経費がかからない「待ち」の仕事にならざるを得ません。自動車を使った移動販売など成り立つわけがありません。薄々はわかっていたつもりですが、想いの方が強く、やってしまったわけです。失敗はありましたが今思えば楽しい楽しい時間でした。

代表 三輪哲

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