第102回「子どもたちと絵本(児童書)」

車に本をたくさん積んで、山間部の小学校へ!

名古屋市内から車で約2時間かけて、今年も愛知県新城市にある海老小学校へ、車に本をたくさん積んで行ってきました。昨年のこともこの日記にて書きましたが、山間部にある小さな小学校です。メルヘンハウスでは、僕が入社する前から毎年訪れていた小学校で、今回で15回目ぐらいの訪問のようでした。そして今年の訪問は特別な意味がありました。それは、今年度で143年の歴史に幕を閉じるのです。

昨年は全校生徒11人、今年は13名と2人増えていました。例年通り、午前中の学芸会からご招待いただき、子どもたちの熱演を見たり、地域の歴史研究を行っている父兄の方による、小学校の歴史や謎に迫る講演会や、読み聞かせボランティアの発表など、バラエティに富んだ時間でした。それにしても、去年もビックリしたのが、その学芸会の観客の方々。父兄の方は勿論のこと、地域のお年寄りから、元校長先生、そしてお巡りさんまで!地域のみんなで子どもたちの劇や発表、踊りを楽しむ光景が都会育ちの僕にとってはカルチャーショックでした。

これが最後の学芸会ということもあり、僕と父も寂しい気持ちとなり、子どもたちの元気のよい歌声に涙を流したり、感動したり、地元に方々に混ぜていただき、とても貴重な時間を共有させていただきました。

読み聞かせで選んだ本は・・・

学芸会も終わり、子どもたちとその父兄の方と給食をともにして、さあ出番です。父が少しだけ本の楽しみ方を子どもたちと父兄の方にして、僕と本を2冊ずつ読みました。僕は今回、『アマンディーナ』(光村教育図書)と『とべバッタ』(偕成社)を読みました。

『アマンディーナ』 セルジオ・ルッツィア/作 福本友美子/訳 光村教育図書

『アマンディーナ』
セルジオ・ルッツィア/作
福本友美子/訳
光村教育図書

この2冊にしたのは、理由があります。『アマンディーナ』は、観客が誰も来なくても、最後まで必死に歌や踊りや劇を演じる小さな犬のお話です。『とべバッタ』は、勇気を振り絞って天敵に立ち向かい、羽ばたいていくバッタの成長する姿のお話です。昨年お邪魔したときに、少ない生徒数でみんなに楽しんでもらおうと、必死に劇で演じる姿に感動しました。そして、今年で閉校となり、近隣の小学校と合併になるときに、環境が変わって最初は慣れないこともあり大変かも知れないけれど、頑張ってほしいというエールを絵本に込めようと、この2冊を選びました。

『とべバッタ』 田島征三/作 偕成社

『とべバッタ』
田島征三/作
偕成社

子どもたちはどちらも真剣に聞いてくれました。そして、その眼差しはとてもキラキラしていて純粋でしたが、ものすごい力強さも感じました。田舎だから、都会だからという話はするつもりはありませんが、この山々に囲まれ、学校のすぐ横には川があり、水が流れる音が校舎のなかにも聞こえます。こんな自然豊かな環境で育った子どもの目の輝きなのかな?なんて思ったりもしました。

絵本を選ぶ光景もとても素敵でした。兄弟が肩を寄せ合い読んでいたり、先生に自分が選んだ本を自慢したり、友達同士で読み合ったり、みんなが家族のようでした。

家族と地域の絆の大切さ、重要さを知る。

僕は名古屋に生まれ、高校は埼玉、大学は沖縄、その後は東京に15年ほど、23年ぶりに名古屋に帰り1年半。昔から山村など山の見える風景が大好きで、名古屋から静岡の祖母に家に行く東名高速道路からの眺めが、徐々に山のある風景になっていく様子がとても好きでした。こんなこともあり、どこか田舎暮らしに憧れを昔も今も持っているのだと思います。

実際に暮らしてみないとわからない大変さ、そして素晴らしさ。よそ者の名古屋の本屋が年に一度だけ本を持っていくだけではわかりません。しかし、この光景はずっと残ってほしいなぁと勝手ながら思うのです。帰りの車の中では、父と今日あった事をひとつずつ丁寧に思い出して、子どもたちの未来について話をしました。そんな時間をくれたことにも感謝です。父とゆっくり話すことの大切さを痛感する今日この頃。71才で未だ現役でメルヘンハウスのレジにも立っているし、パソコンを使って「ひろばメルヘン」というメルヘンハウスが発信する児童書に関する情報紙も作成しています。

今回の海老小学校の訪問で強く感じ、学んだのは、家族や地域との絆。名古屋という都市だから出来ないということでもないなぁと、ぼんやりながらも地域で連携して、子どもたちに何かステキなことをしたい!という気持ちが強くなりました。地域に憧れるのではなく、僕が「今」いる場所で何ができるか?メルヘンハウスで何ができるか?名古屋で何ができるか?愛知県で・・・日本で・・・世界で・・・、子どもに関わる人たちとネットワークを大きく広げていきたいと思うのです。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

 

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営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

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