第14回「読んでいて楽しい、探偵小説」

小学4年生の時にモーリス・ルブランの『奇岩城』を読みました。それまで推理小説、探偵小説などは読んだことが無かったのですが、これにはまりました。その後アルセーヌ・ルパン全集があることを知り、次々と買ってもらって読んでいきました。今でも推理小説は大好きなのですが、原点はここにあると思います。

ルパンとかホームズに出てくるような殺人事件は怖いけれど、推理したり、主人公が事件をどう解決していくのか、ドキドキワクワクしながら楽しめる、そんな物語があったら読んでみたいと考えている子どもたちもたくさんいることでしょう。そんな子どもたちに是非薦めてみたいのはエーリヒ・ケストナーの『エーミールと探偵たち』(岩波書店)です。

『エーミールと探偵たち』 エーリヒ・ケストナー/作 高橋健二/訳 (岩波書店) 小学高学年以上

『エーミールと探偵たち』
エーリヒ・ケストナー/作
高橋健二/訳
(岩波書店)
小学高学年以上

1929年に出版されていますから、時代背景は今と全然違います。美容師のお母さんと二人暮らしのエーミールは、ベルリンに住んでいるおばあさんのところにひとりで汽車に乗ってでかけることになります。おばあさんに渡すためのエーミールにもお母さんにとってもちょっとした大金を携えて。エーミールは用心して内ポケットにお金をしまうのですが、汽車に乗ってつい寝込んでしまった時に、同じ車室の男にまんまと盗まれてしまうのです。

エーミールは男を追跡します。そんなエーミールに手を貸してくれる大勢の仲間ができます。そしてエーミールの賢い判断が、この事件を見事解決してくれるのです。ゆったりと物語はすすみ、多くの探偵小説を読んでいる時のようなピリピリとした緊迫感は、あまりありません。でもユーモアにあふれ、温かさがあり、もちろん面白いのです。

なにより、子どもたちと関わる大人たちがとてもステキなのです。
そして、ワルター・トリヤーの挿絵がこの物語を更に面白くしてくれています。

これからも、ずっと読み継がれていってほしい本だと、私は思います。

松永 みどり
大学時代に児童文学を学び、その頃からメルヘンハウスに通いつめる。今では勤続30年をこえる超ベテラン。長年に渡りブッククラブの選書を担当し、数多くの 子どもたちの心に響く本を選び抜いてきた。社内でも本選びに困ったスタッフから度々相談を持ちかけられるなど、信頼も厚い。プライベートでは2人の娘を持つ母親。野球とテニスが好きで、言わずもがな読書が大好き。

この記事が気に入ったら
是非 いいね! してください
メルヘンハウスの最新情報をお届けします
人気の記事
  • メルヘンハウスは2018年3月31日をもって閉店いたします。
    メルヘンハウスは2018年3月31日をもって閉店いたします。
    2018年3月31日、メルヘンハウスは45年と5日の長きにわたる書店活動を閉めることとなりました。 「一人でも多くの子どもに読書の喜びを」をスローガンに、国内初の子どもの本専門店として立ちあげま...
  • 2歳の絵本。絶対におすすめの10冊。
    2歳の絵本。絶対におすすめの10冊。
    photo by Leon Wilson 2歳になると、言葉や色々なものを覚えてきます。基本的な生活習慣が形成され、一人で色んなことが出来るようになってくる時期です。そんな時期だからこそ、絵本の...
  • 【読み聞かせ】低学年におすすめの絵本10冊
    【読み聞かせ】低学年におすすめの絵本10冊
    photo by MIKI Yoshihito 自分の子どもへの読み聞かせはもちろん、小学校のボランティアや町内の子ども会など、意外と機会があるのが、低学年の子どもへの読み聞かせです。 でも、...
  • 絵本の読み聞かせの本当の効果とコツ
    絵本の読み聞かせの本当の効果とコツ
    「絵本読んで!」 子どもにせがまれて、絵本を読んであげる。いわゆる読み聞かせですが、これもご両親の大事な仕事の1つですよね。ただ、喜んでくれるのは嬉しいけれど、忙しい毎日の中で、何度も同じ絵...
  • 泣ける絵本。大人も感動する絵本10冊
    泣ける絵本。大人も感動する絵本10冊
    あなたは、どんな時に感動したり、泣いたりしますか? 映画で思わず泣いてしまったという人は多いかもしれませんが、絵本でも泣ける内容の感動的なストーリーがたくさんあります。 この記事では、子どもだ...
こちらもいかがですか?
  • 『王のしるし 上』
ローズマリ・サトクリフ/作
猪熊葉子/訳
(岩波少年文庫)
    第16回「じっくりと味わってみたいサトクリフの歴史文学」

    現代イギリスの児童文学作家を代表する一人として挙げられるのが、ローズマリ・サトクリフです。彼女の書くものは主に歴史児童文学であり、ローマ時代のイギリスを舞台にした作品が代表作となります。心に傷を持っていたり、体になんらか…

  • 『グリーン・ノウのお客さま』    
ルーシー・M・ボストン/作
ピーター・ボストン/絵
亀井俊介/訳
(評論社
    第15回「雄々しいゴリラにとっての棲みかは何処に」

    1頭のゴリラの写真集が出版されるような今日この頃ですが、私も昔からゴリラには魅力を感じていました。特にシルバーバックと言われるオスの雄々しい姿は、圧倒的な迫力があり、みとれてしまいます。子どもが小さい頃はよく動物園に行っ…

  • 『七人の魔法使い』
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/作
野口 絵美/訳
佐竹 美保/絵
    第13回「ファンタジーの女王、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ」

    私の好きな作家の中にダイアナ・ウィン・ジョーンズがいます。彼女の書くファンタジーは読み始めのころは、何が何やらわからないのですが、それが、物語の終盤に向かうに従い、整然としてきます。バラバラだったジグソーパズルのピースが…

  • 『空色勾玉』
萩原規子/作
(徳間書店)
    第12回「読み応えのあるファンタジー『空色勾玉』」

    いわゆる児童文学と向き合ったのは、大学に入ってからでしたが、『ゲド戦記』や『ナルニア国物語』や『闇の戦い』などのファンタジーには夢中になりました。もともと、どちらかというと、外国の作品に惹かれていたのですが、これほどの世…

  • 『ネコのミヌース』
アニー・M・G・シュミット/作
カール・ホランダー/絵
西村由美/訳
徳間書店
    第11回「ネコ、ネコ、ネコがいっぱい!」

    ネコが好きな人なら、きっと大好きになるだろうなあと思う本が『ネコのミヌース』です。ちょっとしゃれていて、軽いタッチで、まるで映画を観ているような味わいの楽しいお話です。 主人公は恥ずかしがり屋の若い新聞記者。恥ずかしがり…

おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

イベントページでご確認ください。

サイト内検索