第106回「寒い日の読書」

お客さんに教わる

1月も中旬になり、ようやく通常の生活習慣に戻ってきました。徐々にですが、新年に新しいことが始められるように準備をしています。

メルヘンハウスにいると、色々なお客さんが色々な目的でやってきます。僕はお客さんと話すのが楽しいので、よく話しかけます。といっても、本を探しにきているわけなので、ちょうどいい間みたいなものを見つけて話しかけるのです。

お客さんと話すと僕の方が教わることも多々あります。「この絵本はココで子どもが喜んだ!」とか、「この本は児童書専門店の店員として読んでおきなさい。」などと、本を教えてくれるお客さんもいます。本来、メルヘンハウスのような児童書専門店と名乗っている限りは、最低でも置いてある本を全て熟知していないといけないのかもしれません(メルヘンハウスには約3万冊の本があります)。そのうえ、新刊は毎日のように入荷されてきます。言い訳ではありませんが、とてもじゃないですが追いつきません。もっともっと読む時間を作らねばなりません。

読書の冬も悪くないです

本を読むとなると「読書の秋」といわれますが、僕個人は冬の読書が好きです。寒い冬に部屋を暖かくして読む本は最高です。読んでいる途中でウトウトしたり、珈琲を飲みながら読んだり、冬の太陽の光が部屋に差し込んでくる雰囲気であったり、なんだか良いのです。冬は夏に比べてあまり活発に活動をしないので、外へ出すパワーというより、充電をするようなイメージです。本を読むこともそんな充電のひとつだと思います。

関東地方は大雪に見舞われて交通機関の遅延などが大変だったようですが、まだ雪の降っていない名古屋から関東の雪の風景をテレビで見ると、「いいなぁ」と思いました。そこで手にしたのがこの『ゆき』(あすなろ書房)という絵本です。

『ゆき』 ユリ・シュルヴィッツ/作 さくまゆみこ/訳 (あすなろ書房)

『ゆき』
ユリ・シュルヴィッツ/作
さくまゆみこ/訳
(あすなろ書房)

雪が降り始めるどんよりとした空模様から、雪によって白銀の世界が広がるまで、1人の男の子を通して丁寧に描いています。雪という寒い気候のお話なのに、ページをめくるたびに心が温まっていくのが不思議です。それは、絵の力であり、文章の力、すなわち絵本の力です。作者は『よあけ』(福音館書店)など名作を多く世に発表しているユリ・シュルビッツ。最新刊『じどうしゃトロット』(そうえん社)も、オーソドックスなお話ながらも、これから多くの子どもたちに愛されそうな絵本でした。

時間の使い道は人それぞれ。本を読むことが生活のリズムのなかに入っている人もいれば、全く本などは最近手にしたこともないという方もいらっしゃるでしょう。でも、何かのキッカケで本を読みその楽しさに気付くようなことがあればいいなぁと思います。そして、そのような機会をメルヘンハウスがもっとつくれるようにしなくては!と思うのです。

お店をつくるのは誰?

すなわち、もっともっと多くのお客さん(子どもたち)が、メルヘンハウスにやってきてくれるにはどうすれば良いのか?日々頭を捻り、行動し、喜怒哀楽を激しく生きています。何故お店に来て欲しいか?それは、商いという面だけではありません。メルヘンハウスに限らず、お店というのは何もそこで働いている人たちだけで作られるものではありません。そこにやってくるお客さん(子どもたち)によって作られるところが大きいのです。

子どもたちが創ったものを、メルヘンハウスが作る。同じ「つくる」でも意味合いが違います。子どもたちにとって窮屈でない空間でありたいと思います。それがメルヘンハウスだと思うのです。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

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お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

イベントページでご確認ください。

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