第23回「紙芝居とメルヘンハウス」

子どもの頃の紙芝居の思い出

もう60年以上前になろうかと思いますが、私が子どもだったころの娯楽の一つに、街頭紙芝居がありました。大きな荷台の自転車に紙芝居の舞台と景品の水飴(大人たちは不衛生だと嫌いました)を載せて、おじさんが広場にやってきました。

拍子木の「カーンカーン」という音が耳に入ると、母親から貰った5円玉を手に握り広場に一目散。水飴が垂れるのも忘れて『黄金バット』の大活躍に夢中になったものです(いくつか作品はあったのですが、なぜか『黄金バット』が強烈に残っています)。そして、あのおじさんの浪曲を思わせる名調子は、今でも耳の奥底に潜んでいます。

紙芝居を広めるために、出版社に掛け合いました。

子どもの本専門店メルヘンハウスを開く時、子どもの頃に体験したあの紙芝居の面白さを、どうしても目の前の子どもたちに知ってほしく、紙芝居のコーナーを設けました。当時は、紙芝居は保育の道具と思われていて、保育用品屋さんの訪問販売が主流で、書店の店頭に並ぶことはあまりありませんでした。

「文化の担い手の書店が、他国では見られない日本独自の文化財である紙芝居を広め、継承しなければだれがやる」、こんな思いもありました。売り上げ単価を大きくするためにセット販売が主流だった出版社と掛け合い、分売(1作品ずつ購入できること)できるようにしたのも良い思い出です。

その場の雰囲気でアドリブも!

毎週土曜日と日曜日の15時から、メルヘンハウスではおはなし会を開いています。絵本の読み聞かせを中心に、手遊びやパネルシアター、時には飛び入りの腹話術などを楽しんでいます。プログラムの中で紙芝居は、とても好評で毎回欠かさず演じています。

まず拍子木を打つ子どもの呼び込み、「紙芝居が始まるよ~」から始まります(自ら志願する子が結構います)。集まった子どもたちの顔を見ながら演じ始めます。同じ演目でもその場の雰囲気で脚本が変わったりもします。このアドリブが、演じ手にとっても子どもにとっても楽しいのです。

紙芝居を演じる自分と、それを喜ぶ子どもたちを見ていると、60年前のあの紙芝居おじさんと当時の子どもがオーバーラップしてくるのです。子どもの文化としての紙芝居が、演じる人とそれを楽しむ子どもたちによって次の世代に、そして諸外国にも繋がっていくことでしょう(すでに「KAMISHIBAI」の名前で展開している国もあります)。

代表 三輪哲

この記事が気に入ったら
是非 いいね! してください
メルヘンハウスの最新情報をお届けします
人気の記事
  • 図書館スタッフを募集します
    図書館スタッフを募集します
    子どもと子どもの本が好きな方へ メルヘンハウスでは、子ども図書館の企画・運営を請け負っています。現在、栃木県足利市と愛知県春日井市(高蔵寺)の2ヵ所のスーパーマーケット内で展開しています。メルヘ...
  • 【読み聞かせ】低学年におすすめの絵本10冊
    【読み聞かせ】低学年におすすめの絵本10冊
    photo by MIKI Yoshihito 自分の子どもへの読み聞かせはもちろん、小学校のボランティアや町内の子ども会など、意外と機会があるのが、低学年の子どもへの読み聞かせです。 でも、...
  • 2歳の絵本。絶対におすすめの10冊。
    2歳の絵本。絶対におすすめの10冊。
    photo by Leon Wilson 2歳になると、言葉や色々なものを覚えてきます。基本的な生活習慣が形成され、一人で色んなことが出来るようになってくる時期です。そんな時期だからこそ、絵本の...
  • 絵本の読み聞かせの本当の効果とコツ
    絵本の読み聞かせの本当の効果とコツ
    「絵本読んで!」 子どもにせがまれて、絵本を読んであげる。いわゆる読み聞かせですが、これもご両親の大事な仕事の1つですよね。ただ、喜んでくれるのは嬉しいけれど、忙しい毎日の中で、何度も同じ絵...
  • 大人に教えたい絵本。おすすめ10冊
    大人に教えたい絵本。おすすめ10冊
    絵本は、子どもだけのものだと思ってるそこのあなた…何てもったいない!! 絵本を一番たくさん読むのは、確かに子どもの頃かもしれません。でも、対象年齢の下限はあっても、上限がないのが絵本の良いと...
こちらもいかがですか?
  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第43回「先輩相手に説法」

    書店の研修会で「児童書の販売についての勉強会」がありました。その講師を頼まれ講座を1つ任されました。ところが話し始めると、講師というよりも常々思っている不満をぶつけるような形になってしまいました。 「一般書店では、児童書…

  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第40回「子どもの本で、戦争と平和を考える」

    毎年、この時期の恒例のコーナー 毎年8月になると、店内ブックメニューのコーナーは、「子どもの本で、戦争と平和を考える」となります。開店以来毎年ですから40回以上継続している企画です。戦後も70年余となりますと、戦争経験者…

  • %e6%9c%ac%e5%b1%b1%e5%ba%97%e8%88%972
    第39回「すべてのものに生命を」

    パペット(人形)で遊ぶ子どもたち メルヘンハウスに入ってすぐのところに絵本のキャラクターのパペット(人形)がいくつか置いてあります。子どもたちの集中力がなくなってきた時、パペットで遊んで一息入れる役目を果たしています。 …

  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第38回「ヤングアダルトおすすめの難しさ」

    読者と本を橋渡しする仕事 小学上級から中学生ぐらいになると、「おじさん、この間すすめてくれた本、とてもおもしろかったよ。おじさんが教えてくれなかったら、きっと読まずに行ってしまったと思うよ」、こんなお礼を言われることがあ…

  • %e6%9c%ac%e5%b1%b1%e5%ba%97%e8%88%972
    第37回「ロングセラーは子どもがつくる」

    大人にとっての難しい絵本の一冊 僕の大好きな絵本に、『もこ もこもこ』(文研出版)があります。大型絵本、見開き一画面の色鮮やかな抽象画、「しーん」、「もこもこ」、「にょき」、「もぐもぐ」……などの擬態語だけで構成されてい…

おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

イベントページでご確認ください。

サイト内検索