第110回「本の中へ旅にでる。本と一緒に旅にでる。」

まだまだ寒い3月ですが……。

3月に入りました。「今日が暖かい日だなぁ、春はもうそこまで来てるなぁ。」などと思いながら、お昼休みに外に出ると風が冷たかったり、日陰は寒かったり、まだまだ冬ですね。

お昼休みに限らず、お休みの日は大体外に出かけるようにしています。元々、一カ所で静かにしているタイプでもないので、どこかに行きたくて仕方ないのです。近場でも何処かに出かけると今でも幼少の頃の家族旅行を思い出します。僕の父は静岡出身のため、お盆とお正月は、必ず静岡のおばあちゃんの家に親戚中が集まるため、名古屋から出向いていました。

小学校中学年の頃までは、父が「メルヘンツアー」と題して、毎夏本の舞台となった海外に、お客さんたちと旅に出かけていたので(「メルヘンツアー」に関しては、いずれメルヘンハウス物語でも登場すると思います。)、僕と母と妹の3人で新幹線で行くことがほとんどでした。

旅の一番の楽しみは準備期間!

夏休みに入り、静岡に行くお盆が近づくとソワソワして、自分のリュックサックに荷物をまとめたりするのも楽しみのひとつでした。入れるものと言っても着替えが大半ですが、おばあちゃんの家で遊ぶオモチャなどを選ぶのにとても時間がかかった覚えがあります。「あれでもない、これでもない」と、入れては出してを繰り返し、結局ろくなものが入っていない重いリュックサックが出来上がるわけです。

僕のなかで旅というのは、行き先での楽しみも勿論ありますが、それ以上に準備する時や、旅の日までを指折り数えて待っているときが最高に楽しいです。 それは今でも変わりません。「思いを馳せる」ことが好きなんだと思います。

本の中で旅をする。

何故急にこんなことを書き出したのか?メルヘンハウスにはテーマコーナーという本棚があり、大体1ヶ月の周期で特集をします。今月は「旅に出よう!〜身も心もリフレッシュ〜」と題して、「旅」に関する本が多く並んでいます。そこに並んだ本を眺めていたら、なんだか急に昔のことを思い出したのです。

そして、その「旅」の本のなかで手にした本は、『ペンギンきょうだい れっしゃのたび』(ブロンズ新社)でした。この本に描かれていることは、まさに幼少の頃の静岡のおばあちゃんの家に行くまでの電車での出来事ばかりだったのです。なんだか色んなことを一気に思い出し、とてもノスタルジーな気分に。

『ペンギンきょうだい れっしゃのたび』 工藤ノリコ/作・絵 (ブロンズ新社)

『ペンギンきょうだい れっしゃのたび』
工藤ノリコ/作・絵
(ブロンズ新社)

昔の写真などを見た時の気持ちに似ているというか、絵本を通して自分の過去に戻されるような感覚です。もう戻ってくることのない情景が、とても懐かしくも切なく、心が痛くなるのです。しかし、そこだけで終わることなく、僕の仕事としてやらなくてはいけない大切なことは、多くの子どもに本の楽しさを伝えていくこと。大人の僕がノスタルジーに浸っているだけでなく、今まさにその時を過ごしている子どもたちがこの本を手に取り、自分と重ね合わせて楽しんでくれるように演出していくこと。

ちょっと旅に出たい!でも、そんな時間の余裕もなさそうなので、本の中で旅をたくさんしたいと思います。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

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営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

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