第112回「この本屋で買いたい本がある!」

同じ本屋に3回行って、3回目でようやく購入。

名古屋には素敵な本屋さんがたくさんあります。そのひとつにON READINGという本屋さんがあります。今回のタイトル「この本屋で買いたい本がある!」というのは、まさにON READINGのこと。先日、植本一子さんの『かなわない』(タバブックス)を購入しました。

この本を買うために、ON READINGへ3回行きました。1度目はBOOKMARK NAGOYAのことでちょっと用事があったので行きました。その時に「あっ、たくさん入荷してますねぇ〜!今度買いに来ます。」と言って、いざ買いに行ったら「売り切れで今週入荷します。」と言われ、出直して3度目の正直。やっと購入できました。

1回目から3回目まで約3週間。インターネットであれば、翌日に手にすることができたはずですし、その間に他の書店にも行ったりしていたのですが、3回もお店にわざわざ出向いたのです(1回目は別用でしたが)。僕はどうしても、この『かなわない』をON READINGで買いたかった。それは、植本さんがON READINGで写真展をやっていて見たりもしていたというのもあるけれど、おそらく僕の住んでいるこの名古屋で、一番この本に愛をもって売っているのがON READINGだと思ったからです。

本を買うという行為。

本の中身はどこで買っても変わりません。しかし、その本を手渡そうとしている店の心意気というか、想いを含めて買いたかったのです。先日、たまたま観ていたテレビで、ある芸能人がこんなことを言っていました。

「本を買うということは、本屋のなかをブラブラ廻ったりすることも含めていると思う。」

僕は、本屋として嬉しく思いました。何故なら僕ら本屋の存在意義を示してくれた一言なので。本というのは、商品という面と文化というの面を持っているものだと思います。格好良く言えば、本屋は文化を担っています。メルヘンハウスも例外でなく、子どもの本という文化を担っています。それを社会にどう伝えていくか?44年目に突入してもまだまだ明確な答えは出ておらず、トライ&エラーを繰り返しています。

お客さんと話すのはとっても楽しい!

さて、お店に来てくれるお客さんとお話することは、とっても楽しいことです。それは大人だけでなく、子どもたちとの会話もとっても楽しい!ある日のこと、小学校低学年の男の子とこんなやり取りがありました。

「◯◯っていう怖い本ありますか?」
「あるよ!でも、怖くて読めないと思うよ。」なんて意地悪をいうと、
「△△っていう怖い絵本も、□□っていう怖い絵本も読めるから大丈夫!」と、
なんとも頼もしい返答が。実際に◯◯という絵本を手渡すと、恐る恐るそーっと開いている姿が。

『おしいれのぼうけん』 古田足日/作 田畑精一/絵 (童心社)

『おしいれのぼうけん』
古田足日/作
田畑精一/絵
(童心社)

僕は見て見ぬ振りをしていましたが、読み終わった男の子は僕のところに来て、「全然怖くない!」と胸を張って誇らしげに言うのでした。こんなやり取りは、僕をとっても幸せにしてくれます。この男の子にとって今日読んだ怖い絵本は、おそらく一生の思い出になるのでしょう。何故なら、お店に自分の子どものために絵本を探しにくる新米お父さんやお母さんは、「世代を越えて愛される本たち」コーナーにある『おしいれのぼうけん』(童心社)や『モチモチの木』(岩崎書店)を見ると、「懐かしい!これ怖かったんだよなぁ」と言う光景を何度も見ているからです。つまりは、怖い本ほど思い出に残る(この2冊は怖いイメージがありますが、とても良いお話です)みたいなのです。

『モチモチの木』 斎藤隆介/作 滝平二郎/絵 (岩崎書店)

『モチモチの木』
斎藤隆介/作
滝平二郎/絵
(岩崎書店)

この男の子が何十年後かに親になった時に、子どもの本を探しにメルヘンハウスにやってきたときに○○という怖い本に再会できるよう、僕がやることはまだまだあるんだと思います。

「メルヘンハウスで買いたい本がある!」

そのように言ってもらい、実際に来てくれる方がいると嬉しいです。そして、そのようにせねば!と。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴39年、メルヘンハウス歴1年のかなり遅れてきたルーキー。

 

 

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営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

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