第26回「『みなみの島へいったんや』 前編」

心揺さぶる本との出合い

今年、創立80周年を迎える偕成社という児童書の出版社があります。偕成社は、1981年国際障がい者年を前に障がい者を理解するための本の出版を、どこの出版社よりも早く手掛けていました。そんなある時、編集室に通されると色鮮やかな絵本、『ボスがきた』が目に飛び込んできました。心揺さぶるこの絵本は、知能に重い障がいを持つ人たちの施設「止揚(しよう)学園」の皆さんが、愛犬ボスとの出会いと生活と別れまでを描いた絵本です。今まで類を見なかった絵本にしばし呆然としてしまいました。

その後、止揚学園総リーダーの福井達雨先生と会う機会があり、「こんな絵を描く子どもたちを南の島へ飛行機で連れて行ってやりたいんだ。そして燃えるような本当の色に出合わせてあげたい。感性豊かなこの子たちの中にきっと素晴らしい変化が生まれるに違いない」と、熱の入った話を聞き、感動し、何か協力できないかと考えました。

『ボスがきた』 福井達雨/編 竹内雅輝/絵 (偕成社)

『ボスがきた』
福井達雨/編
竹内雅輝/絵
(偕成社)

南の島に連れていってあげたい!

そこで親しい本屋仲間に相談して、重点的に『ボスがきた』を販売し、その印税を海外旅行の経費の一助となるようにしようということになりました。それぞれの店頭で『ボスがきた』を平積みにして【この本は、必ず立ち読みしてください】というポップを用意しました(メルヘンハウスには通常ポップなどは置きません)。この作戦は見事に当たり、おかげで多くの人の目に止まり、深い感動とともにたくさん売れ、印税収入のお手伝いが出来たと喜びました。

そしていよいよ1981年3月、マスコミ関係者、ボランティア、協力した本屋さん、偕成社の関係者、障がいを持った子どもと学園スタッフなど、50人近い集団は南国シンガポールに降り立ちました。シンガポール滞在記と、帰国後の子どもたちの様子については、次回後編として紹介します。

代表 三輪哲

この記事が気に入ったら
是非 いいね! してください
メルヘンハウスの最新情報をお届けします
人気の記事
  • 図書館スタッフを募集します
    図書館スタッフを募集します
    子どもと子どもの本が好きな方へ メルヘンハウスでは、子ども図書館の企画・運営を請け負っています。現在、栃木県足利市と愛知県春日井市(高蔵寺)の2ヵ所のスーパーマーケット内で展開しています。メルヘ...
  • 【読み聞かせ】低学年におすすめの絵本10冊
    【読み聞かせ】低学年におすすめの絵本10冊
    photo by MIKI Yoshihito 自分の子どもへの読み聞かせはもちろん、小学校のボランティアや町内の子ども会など、意外と機会があるのが、低学年の子どもへの読み聞かせです。 でも、...
  • 2歳の絵本。絶対におすすめの10冊。
    2歳の絵本。絶対におすすめの10冊。
    photo by Leon Wilson 2歳になると、言葉や色々なものを覚えてきます。基本的な生活習慣が形成され、一人で色んなことが出来るようになってくる時期です。そんな時期だからこそ、絵本の...
  • 絵本の読み聞かせの本当の効果とコツ
    絵本の読み聞かせの本当の効果とコツ
    「絵本読んで!」 子どもにせがまれて、絵本を読んであげる。いわゆる読み聞かせですが、これもご両親の大事な仕事の1つですよね。ただ、喜んでくれるのは嬉しいけれど、忙しい毎日の中で、何度も同じ絵...
  • 大人に教えたい絵本。おすすめ10冊
    大人に教えたい絵本。おすすめ10冊
    絵本は、子どもだけのものだと思ってるそこのあなた…何てもったいない!! 絵本を一番たくさん読むのは、確かに子どもの頃かもしれません。でも、対象年齢の下限はあっても、上限がないのが絵本の良いと...
こちらもいかがですか?
  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第43回「先輩相手に説法」

    書店の研修会で「児童書の販売についての勉強会」がありました。その講師を頼まれ講座を1つ任されました。ところが話し始めると、講師というよりも常々思っている不満をぶつけるような形になってしまいました。 「一般書店では、児童書…

  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第40回「子どもの本で、戦争と平和を考える」

    毎年、この時期の恒例のコーナー 毎年8月になると、店内ブックメニューのコーナーは、「子どもの本で、戦争と平和を考える」となります。開店以来毎年ですから40回以上継続している企画です。戦後も70年余となりますと、戦争経験者…

  • %e6%9c%ac%e5%b1%b1%e5%ba%97%e8%88%972
    第39回「すべてのものに生命を」

    パペット(人形)で遊ぶ子どもたち メルヘンハウスに入ってすぐのところに絵本のキャラクターのパペット(人形)がいくつか置いてあります。子どもたちの集中力がなくなってきた時、パペットで遊んで一息入れる役目を果たしています。 …

  • %e8%aa%95%e7%94%9f%e6%97%a5
    第38回「ヤングアダルトおすすめの難しさ」

    読者と本を橋渡しする仕事 小学上級から中学生ぐらいになると、「おじさん、この間すすめてくれた本、とてもおもしろかったよ。おじさんが教えてくれなかったら、きっと読まずに行ってしまったと思うよ」、こんなお礼を言われることがあ…

  • %e6%9c%ac%e5%b1%b1%e5%ba%97%e8%88%972
    第37回「ロングセラーは子どもがつくる」

    大人にとっての難しい絵本の一冊 僕の大好きな絵本に、『もこ もこもこ』(文研出版)があります。大型絵本、見開き一画面の色鮮やかな抽象画、「しーん」、「もこもこ」、「にょき」、「もぐもぐ」……などの擬態語だけで構成されてい…

おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

イベントページでご確認ください。

サイト内検索