第114回「本は本であるけれど、モノでもある。」

「生まれた時から子どもの本専門店の息子。」

桜も散り、春という季節が少し落ち着いてきたような気がします。僕は昔から春がそんなに得意ではありません。クラス替えなど新しい出会いにワクワクしながらも、せっかく仲良くなった友達とクラスが違ったりすると、とても落ち込んだものです。しかし、しばらく経つとそんなことはすっかり忘れて新しい環境で楽しく過ごすのですが……。

「生まれた時から子どもの本専門店の息子。」

これは、今の僕の一つのキャッチコピーのようになっていますが、本当にその通りで、今年で子どもの本の専門店の息子歴も41年目に突入しました。と言っても、メルヘンハウス歴は3年目でまだまだ未熟者です。そして、子どもの親歴9ヶ月です。

子どもと一緒に楽しむ絵本の時間。

子どもとは毎日一緒に絵本を楽しんでいます。朝3冊と夜3冊は必ず読むようにしています(たまにさぼってしまう時もありますが……)。里帰り出産のような感じだったので、実際に一緒に子どもと暮らしはじめたのは、生後2ヶ月目あたりからです。「待ってました!」と言わんばかりに子どもに絵本を読みはじめましたが、全くの無反応。そんなことお構いなしに毎日毎日同じ絵本を読み続けていくと、1週間ほど経ちちょっとずつ反応が出てきました。笑うまではいきませんが、口元がちょっと緩んできたのです。そのちょとした反応が嬉しくて、そこから子どもと絵本のある生活がはじまりました(赤ちゃんへ絵本の読み聞かせ、はじめてのイロハもご参照ください)。image1

「赤ちゃんの成長は早いよ!」

周りの子育て経験のある人たちは、口を揃えたかのように言います。そして、今僕も同じように言ってます。つまりは、本当に成長が早い!のです。つい最近首がすわったと思ったら、腰も座り、大きくもなり、離乳食もはじまり、ずり這い(ハイハイの前段階)、そして、声を出して笑うようになり、歯も生えてきた!その成長のたびに喜び、そして、とうとう目が離せなくなってきたと覚悟をするのです。

本は本であるけれど、モノでもある。

そんな成長の過程のなかで、絵本との関わり方も変化してきました。生後6ヶ月までは、行為として「読んであげる」ことが主でしたが、今では絵本を触ろうとして、しかも、本棚から好きな絵本が取り出されたことを知ると、声をあげて喜びます。そして、読み終わったら、子どもの前に絵本を置きます。そうすると、めくるめくる!絵本に触れていることに喜びを感じているようです(もちろん一人で読んでいるわけではありません)。上下左右が逆になっていてもお構いなし。いつもパタパタさせて喜んでいます。image2

「僕もそうだったのかなぁ」

こんな子どもの光景を見ていると、ふと自分がどうだったのか気になります。すぐ横に父がいるので、聞けば良いのですが何だか照れくさくて、僕の小さい時の話はあまり聞いたことがありません。絵本の楽しみは、最終的にはそこに描かれているおはなしの世界へ入り込んで、子どもたちが自由な想像で楽しむことであると思います。しかし、そこに行くまで「本に触れる」という行為がとても重要であるということ。めくったり、叩いたり、かじってみたり……、「本」であると同時に子どもたちにとっては「モノ」でもある。本は本であってほしいけど、「モノ」であることが「本」より優先している時期があっても良いと思います。image1

まずは存分に本に触れて欲しい。そして、自分で自分の本を大いに汚してほしい。それがいつか思い出になるんだということを、周りの大人たちが理解していないといけないでは?などと思い、そのことを伝えていくのが僕の仕事なのです。

なんだか前回の日記と同じような内容になってしまいましたが、今は子どもと絵本を一緒に楽しむことに夢中です。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴40年、メルヘンハウス歴2年のかなり遅れてきたルーキー。

 

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