第116回「子どもの本の主役は誰なのか?」

「こどもの日」の過ごし方は……。

5月に入り、気持ちの良い陽気の日が続きます。5月5日は「こどもの日」でした。端午の節句でもあります。僕の10ヶ月になる息子も初節句ですが、メルヘンハウスも絶賛営業中のため、どこかに連れていってあげることもできず、「せめて」と思い、朝は鯉のぼりの前で家族で写真をとり、夜はメルヘンハウス近くの餅勘で買った柏餅とちまきと黄飯を持って実家へ。実家には、僕が生まれた時に祖母が用意してくれた兜飾りがまだあるため、その前で記念撮影。元気に健やかに育ってほしいものです。

絵本が大人たちの道具ではなく、子どもたちの手に届くように。

このGWは、各地で子どものためのイベントが開催されていたようで、東京では、「上野の森 親子フェスタ2016」が開催されており、児童書出版社のTwitterなどでも盛り上がっているのが伝わってきました。おそらく父が44年前にメルヘンハウスをはじめた当初は、絵本のイベントなど皆無だったと思います。それが今となっては、GWに限らず各地で絵本に関するイベントやコンテストなどが盛んに行われるようになり、絵本を取り巻く環境が変わってきていると思います。

絵本が世間に広がっていくことは、とても素晴らしいことだと思います。まだまだ絵本を手にしたことがない、読んだことがない子どもたちがいっぱいいるわけなので、その子たちに広がっていくキッカケが一つでも多い方が良いと思います。しかし、最近よく思うのが「絵本の主役は誰なのか?」ということです。絵本と一言で言ってもそのジャンルは幅広く、赤ちゃん向けから大人向けまでありますが、ここでいう絵本は、子ども向けの絵本のことです。絵本が大人たちの道具とならないように、子どもの本専門店として地道ながらも、子どもたちにしっかりと手渡していきたいと思います。

次世代やら大先輩やら共通の話題があるのは楽しいこと。

先日、NHK名古屋放送局の野田英里さんがきてくれました。野田さんとは、絵本を介して知り合いになり、何度か食事会で一緒になったり、共通の知人がいたりと色々とよくしてもらっています。野田さんは、LuLuというおはなし会を毎月開催していて、今絵本の世界にものすごくのめり込んで行っているのがとても伝わってきます。

野田さんは、現在メルヘンハウス2Fギャラリーで開催中(5/8で終了)のママたちの写真展「+Happyの天使たち〜やさしさをありがとう〜」を見にきてくれたのでした。また、こどもの日ということもあり、特別におはなし会もやったのですが、お願いして飛び入り参加で1冊読んでもらいました。現役アナウンサーということもあり、滑舌も声も抜群!子どもたちもとても楽しんでいました。その後も店内をじっくりと物色する野田さん。「いつまでも居られますね!どれにしようか迷ってしまう!」などと言いながら、結局3時間ほどメルヘンハウスに滞在。その途中途中で会話をしながら、今までお会いしたなかで一番濃い内容の話をしたのではないかなぁというぐらい濃密に真面目な話を。話題は尽きることなく、この続きはまた食事会で!と言うことになりました。

野田さんは、「私はまだまだ今は種を撒いている時期なんです。だから、色々なところへ行って、色々な人に会い、色々吸収しているんです。」と言いました。その言葉はなんだか僕の今の状況を代弁してくれているようでもありました。周りにスゴイ人たちがいて、自分の力のなさ、不甲斐なさを存分に知り、問題も山積みながらも、とにかく前に進もうとしている自分が頭に浮かびました。同世代(野田さんは僕より10近く年下なので、次世代?)で色々と共通の話題で話が出来るのは楽しいものです。

僕は今、「結局、自分は何がしたいのか?」というすごくシンプルなのですが、とても難しいことを考えています。自問自答の日々はまだまだ続きそうですが、日々揺れながらもしっかりと丁寧に考えていきたいと思います。メルヘンハウスに情報紙「ひろばメルヘン」の405号でも書きましたが、『アマンディーナ』(光村教育図書)のような本をしっかりと紹介し、子どもたちに手渡していける余裕のある時間が得られればどれだけ良い事か。なんでもスピードと効率に換算されてしまう世の中で、欲しいものはゆったりとした時間。そして、アマンディーナと同様、最後まで諦めることのない意志(この本が好き過ぎて丈太郎日記に2回目の登場です。)。

『アマンディーナ』 セルジオ・ルッツィア/作 福本友美子/訳 光村教育図書

『アマンディーナ』
セルジオ・ルッツィア/作
福本友美子/訳
光村教育図書

なんて、途中まで書いて昼休みに近所のちくさ正文館に行ったら、久しぶりに名物店長の古田さんがいたので少し長めの立ち話。こちらは大先輩!そして、現在の出版界、書籍業界について物申す!姿勢は、長年やってきたからこその説得力。いつもは終始サブカルの話ばかりでしたが、はじめて真面目な話をしたような……。

結局はみんな、本という紙、書店という商店が好きで集まってくるのだと思うのでした。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴40年、メルヘンハウス歴2年のかなり遅れてきたルーキー。

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お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

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