第27回「『みなみの島へいったんや』 後編」

私たちが想像できないほどの大きくて深い感性。

シンガポールの旅を終えて、学園にもどった子どもたちがつくった絵本は、はり絵で描いた『みなみの島へいったんや』(偕成社)です。『ボスがきた』(偕成社)で、その感性に驚かされたものでしたが、『みなみの島へいったんや』は、障がいを持つ子どもたちが、私たちが想像できないほどの大きくて深い感性を持っていることを教えてくれました。

飛行機に乗ったこと、滞在したホテルのこと、海で魚とカニや亀といっしょに遊んだこと、クジャクの見事な姿、動物園や植物園で出合ったカバや象、美しい色で咲き乱れる花、鳥園でいっしょに遊んだ鳥たち、臭いけどおいしかった果物ドリアン……。これら初めての体験の感動を「これでもか、これでもか」と身体の奥底から出てくる鮮やかな色で表しています。

『みなみの島へいったんや』 止揚学園/作 福井達雨/編 (偕成社)

『みなみの島へいったんや』
止揚学園/作
福井達雨/編
(偕成社)

前回の「メルヘンハウス物語」の中での福井達雨先生の言葉、「障がいを持つこの子たちを南の島へ飛行機で連れて行ってやりたいんだ。そして燃えるような本当の色に出合わせてあげたい。感性豊かなこの子たちの中にきっと素晴らしい変化が生まれるに違いない」の通り、絵本『みなみの島へいったんや』で見事にそれを実証してくれました。

優位な立場ではなく……。

シンガポール滞在中のまる一日を、学園スタッフの日頃の忙しさから解放してあげようと、私たち皆で子どもたちの面倒を見ました。手をひいたり、車いすを押したり、着替えの援助をしたり……、それはそれは大変な一日でしたが、スタッフのご苦労を肌で感じたいい経験でした。そして何よりも止揚学園の子どもたちの感性に触れたすばらしい日でもありました。

私たちは障がいを持つ人を「かわいそう、お気の毒」、だから何かしてあげなければと、優位な立場でとらえてしまいがちです。この旅はその考え方を壊し、私たちより優れたところをいっぱい持つ人たちだと教えてくれました。

子どもの本専門店を展開していく中で、大事なことをたくさん気付かせてくれたすばらしい経験でした。

代表 三輪哲

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