第117回「子どもたちのなかへ飛び込む」

元々日記を読むのが好きでした。

つい最近、ゴールデンウィークだの何だのってワイワイしていたのに、気付けば5月の下旬となりました。東海三県は伊勢志摩サミットが開催される影響で、街中も少し緊迫したムードが漂っているように感じます。

この日記も117回。少しは文章が上手くなっているかな?読んでくれている人はどんな思いでいてくれるのかな?などと、色々と考えたり想像したりします。元々、雑誌とかの連載であるような著名人の日記を読むのが好きでした。その人となりが日記が溢れ出ているようなものが好きで、日記というそもそも秘なる個のモノが公開されていることが、なんとも興味深いのです。

武田百合子さんの富士日記(中公文庫)は、その中でも特に好きで読んでいました。何気ない日常生活を何気なく綴られているのですが、情景がとても浮かんでくる文章は飾り気がなく、だからといって生々しくもなくどこか品のある日記。全く僕の書くものとは別物過ぎて比べようもありません。

かわいいお客さんたち

Facebookホームページでも書きましたが、先日スクールバスに乗って30人の子どもたちがメルヘンハウスにやってきてくれました。店内は一瞬にしてワイワイ賑やかな雰囲気に!他にもお客さまが何組かいらっしゃったので、「少し賑やかになりますが、ご了承ください。」とお声をかけると、「子どもたちは元気で良いね!構いませんよ。」と皆さん快く了承いただきました。これも子どもの本専門店ならではのやり取り。皆さんとても寛容です。

僕は子どもたちが来ると、僕の方から積極的に声をかけます。理由は「楽しいから」。子どもたちとの話はとっても面白い!オブラートに包んだような物言いは皆無です。

「この本面白いよ!読んでごらん!」
「つまんな〜い!」。
「じゃあ、こっちは面白いよ!」
「さっきよりは面白かった」
「これは絶対に面白い!」
「あ〜面白かった!」

子どもたちと一緒の目線で。

一人の子とこんなやり取りをしていると、気付けば僕は子どもたちに囲まれていました。もう大変です。みんなワァワァと色々なことを言います。

「もう決めたよ!」
「あの本は面白かったよ。」
「◯△ちゃんは迷路の本を探しているよ!」

僕は聖徳太子ではないので、一度に子どもたちの話を聞いてあげることはできません。しかし、適当に付き合いたくもないので、しゃがんで子どもたちと同じ目線で話すことにしました。するとどうでしょう!子どもたちもしっかりと1人ずつ話をしてくれるようになりました。大人の視線で接するのではなく、子どもたちと一緒になって話をすること、その大切さを子どもたちから学びました。

最後にメルヘンハウスに来てくれたお礼として、『みーんなパンダ』(小学館)という絵本を読みました。子どもたちは大喜び!この絵本はとても良い絵本なのに、まだまだ知られていません。僕ら書店員は、そんな絵本をしっかりと紹介することも大切な仕事です。一人でも「最後におじさんが読んでくれた絵本面白かったなぁ」、「パンダごっこしよう!」などとなれば本望です。

『みーんなパンダ』 石井聖岳/作・絵 (小学館)

『みーんなパンダ』
石井聖岳/作・絵
(小学館)

子どもたちと接すると、とても大きな力をもらいます。それはどんな力か具体的には言い表せませんが、おそらくそれは「生きる力」だと僕は思っています。そして、同時に「なんで子どもたちは純粋なのに、大人になるにつれて純粋さを失っていくのかな?」と思ったりもします。私たち大人は、子どもを自分たちにとって都合の良い方へ導こうとしがちです。そんなことから純粋さを失っていくのかな?と考えたりもします。

子どもたちを通して自分を見つめ直して、もっともっと子どもたちの中に飛び込んでいきたいと思ったのでした。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴40年、メルヘンハウス歴2年のかなり遅れてきたルーキー。

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