第119回「未来の先生たちを前に」

まだまだ知られていないメルヘンハウス

日記の更新頻度が落ちていますが、僕は元気にやっています。6月中旬にテレビでメルヘンハウスが紹介されてから、「はじめまして!」のお客さまが沢山来てくれています。

「こんなお店があるなんて知りませんでした。ステキですね!」

そんなことを言ってくれる方も多く、とても嬉しい限りです。そして、44年もやっているのに、まだまだ知られていないのだなぁと、歴史のネームバリューに頼るのではなく、色々と知ってもらう努力がまだまだ必要だと思いました。

「若いぜ!羨ましいぜ!眩しいぜ!」

話題は変わり、先日、毎年の恒例行事のようになりつつある、愛知教育大学での学生への講演会がありました(昨年の様子はコチラから)。初回は図書館のフリースペースを利用してお話をし、昨年は通常の教室、今年はザ・大学!と言わんばかりの段々になっている教室が会場です。一気に20年ほど前の大学の記憶が蘇るような空間です。第3回-5

まだまだ未熟者ですが、講演会などにお呼ばれする機会もあり、色々なところで色々な方々にお話をさせていただくのですが、今回の学生たちのフレッシュ過ぎるフレッシュ感には圧倒されました。サークルが一緒なのか?お揃いのTシャツを着て仲良く隣同士で座っている学生、はじまる直前まで弁当を食べている日に焼けた学生(15時開始だったのですが……。)、一番乗りで来た男子学生5〜6名に「おっ、ヤル気だな!」と思いきや、最後尾の席取り(僕も学生時代やったなぁ。)だったり、何をするにしても「若いぜ!羨ましいぜ!眩しいぜ!」と思いました。

さあ、本題の講演開始です。テーマは「児童書の楽しみ方」とさせていただきました。将来の先生たちには、あまり具体性のないテーマだったかも知れませんが、わざとこのテーマにしました。何故なら、絵本は教科書ではないから。もちろん、教科書に載っている絵本もありますが、今回は教育的観点から絵本を捉えるのではなく、あくまでも「子どもたちの楽しみ」ということにクローズアップしてみたいと考えたのです。

『しろくまちゃんのほっとけーき』(こぐま社)の読み聞かせから始まり、絵本と子ども関係、「良い本、悪い本ってなに?」、メルヘンハウスに来る子どもたちとのエピソードなど、決して数値で表現できないようなことをお話しました。そして、今回のクライマックスは、「読み聞かせを実際にしてもらう」です。第3回子どもと本のつながりを考える企画-1

えっ、文章がないのですが……。

前から2列目の端の方に座っていた、大人しそうな男子学生を指名して読んでもらうことにしました。読んでもらった本は、『ぞうのボタン』(冨山房)です。この絵本をご存知の方ならおわかりだと思いますが、難易度は高いと思います。そう、かなりの無茶ぶりです。

さあ、男子学生が表紙のタイトルと作者名を読み、いよいよ本題のページへ。しかし、男子学生は困った顔で苦笑いし、何も読み始めようとしません。そう、この絵本は文章のない絵本なのです。読み手がお話を作らなければならない、初心者には高度な絵本なのです(と言ってもとても面白い絵本なのでおススメです)!なんとか困りながらも絵本を読み進め(お話を作り進め)て終了。教室は笑いと驚きの声が一番大きく響いたときでした。

たどたどしくも読んでくれた学生の後に、普段から読み慣れている僕が読んでみました。そしたら、そのつまらないこと!学生が読んだほうが遥かに面白い絵本でした。読み慣れる良さというのもあります。しかし、この絵本の良さは文章がないので、いつでも自由で新鮮な感覚で読むことが出来るところです。それなのに、自分のセオリーが出来てしまい、知らぬ間に文字(文章)がある絵本になってしまっていたのです。

その後も絵本の話をいくつかして、最後に『すてきな三にんぐみ』(偕成社)を読んで終了。教育学部の学生にとっては、教育学部の講義であるにも関わらず、「絵本を教育的な観点で利用しないで!」と何度も説明されるという、なんとも不可解な時間ではあったと思いますが、僕にとっては得るものが大きい素敵な時間でした。IMG_2619

少なからず僕の話を聞いてくれて「そうだよなぁ」、「なるほどなぁ」とか思っていただけると嬉しいです。同調、共感だけでなく、違う考えの方がいてもいいとも思います。つまりは「児童書」というキーワードで、繋がっていく輪が大きくあってほしいと願っています。

最終的に行き着く場所が、「子どもたちによい本を!」であれば、良いと思うのです。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴40年、メルヘンハウス歴2年のかなり遅れてきたルーキー。

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定休日
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※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
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