第28回「園長先生、捨てちゃだめです!貴重品扱いです!」

メルヘンハウスの同年代の絵本。

『しろくまちゃんのほっとけーき』(わかやまけん・こぐま社)、この絵本の奥付を見ると、1972年10月初版・2016年5月第206刷発行とあります。私たちメルヘンハウスの歴史とほぼ同じです。40年以上にわたって売れ続けてきたと思うと、この絵本の力の強さを感じます。打ち上げ花火のように出版はされても、再版がかからない子どもの本が多い中で、子どもたちから盤石の支持をもらっている絵本です。(※ブックッククラブ年少1~2才児(Bコース)配本

そして、なんと言っても圧巻は真ん中見開きページです。

「ぽたあん どろどろ ぴちぴち ぷつぷつ やけたかな まあだまだ しゅっ ぺたん ふくふく くんくん ぽいっ はい できあがり」

(画像は掲載許諾済みです)

(画像は掲載許諾済みです)

色鮮やかな12のカットでホットケーキが出来上がるまでを描いています。このページが幼い読者は大好きです。

ボロボロになった絵本を見つける

 ある時、名古屋市近郊の保育園で講演を頼まれ出かけました。始まる前に園長先生と打ち合わせをしていた時、ボロボロになった『しろくまちゃんのほっとけーき』が目に入りました。それはもうゴミ箱に半分入った状態で、捨てられる寸前の姿でした。

「汚れがひどいので捨てます」、本を捨てることに抵抗感がある私は、園長先生の言葉に思わず「見せてください」と、手に取りました。傷みがひどく、ページも外れかけていました。多くの子どもたちに愛された証拠です。

『しろくまちゃんのほっとけーき』 わかやまけん/作 (こぐま社)

『しろくまちゃんのほっとけーき』
わかやまけん/作
(こぐま社)

壊れないように注意しながらページをめくっていくと、真ん中見開きページだけ特別な傷み方をしていました。12のカットはインクが消え下地の紙が見えているのです。なんと幼い子どもたちが、なめた跡だそうです。よだれを垂らしながらおいしそうになめる姿を思い浮かべ、その感性の豊かさに驚きとジェラシーを覚えました。

子どもたちの心の奥底に沈殿している

「園長先生、捨てちゃだめです!貴重品扱いです!」思わず出た言葉です。何年経ってもあの子どもたちの心の奥底に沈殿しているだろうと思ったからです。園長先生もその意味が分かってくれて、大事にガラス戸棚の中に納めてくれました。

またまた子どもたちに一本取られました。「こんな楽しみ方もあるよ」と教えられました。絵本の楽しみ方は、子どもに教えてもらうのがいちばんです。

代表 三輪哲

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