第29回「読書感想文コンクール再考」

読書の楽しみを子どもから奪わないで!

「感想文が書けない。書くのは嫌だ」

夏休みも終わりに近づくと、こんな相談が子どもたちから毎年いくつかあります。「青少年読書感想文全国コンクール」、なんと厳しい呼称でしょう。そしてこのコンクールは62年前から続いています。これが子どもたちから読書の自由と楽しさを奪い取っている一面があることをご存知ですか。

読書は個人的な密かな作業ですね。本の向こう側に広がる非日常の世界で時空を超えて楽しむものです。日常の世界では経験できない自由な世界を満喫してこちらの世界に帰ってくるのです。

そのことが分かっていない大人、感性豊かな子どもの心が見えていない大人は、読書を勉強の延長線上に位置づけています。「字を覚えて欲しい、読解力も表現力もつけて欲しい、またしつけに役立てば……」などの思いを読書の効能として考えるのです。

読書は楽しみであり、勉強ではない。

最後のページを閉じるのを待つように、「どう、面白かった?この時の主人公の気持ちはどうだった?作者は何を言おうとしているの?」大人の質問攻めが始まります。背中に大きな翼をつけて楽しい空間を飛んできた幼い読者は、その余韻に浸っているのに、いきなり超リアルな日常に戻されます。

それだけでも抵抗があるのに、原稿用紙が用意されていて、読後の感想を書かなければなりません。これはもう読書ではなく、国語科の勉強です。それにくわえ、結果をコンクール仕立てにしてしまう大人の横暴さは、非力の子どもにとっては、堪ったものではありません。

最近その規制が緩くなってきたとはいえ、学年に応じた本が課題図書として選定されています。日頃子どもの本をあまり置かない書店でも、この時期課題図書は、山と積まれています。「子どもが読書に親しむ」という美辞麗句に名を借りた経済行為のにおいがします。

メルヘンハウスでは、積極的にこれを応援することは開店以来44年やってきていません。読書の自由は保障されなければいけないと思うからです。

代表 三輪哲

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