第126回「三浦太郎と三輪丈太郎」

1年ぶりの……。

11月に入りました。急に寒くなり急いで冬物をダダダダダーッと奥底から出しては洗って干してを繰り返しています。しかし、冬のお洒落は重ね着で色々と楽しめるので好きです。なので、あらゆるパターンを想像しながらワクワクしてます。

10月の終わりに、名古屋芸術大学にて作家の三浦太郎さんと講演会をしてきました。三浦さんとは4年ぐらいのお付き合いになります。3年前に行ったイタリアのボローニャでもお会いしてますし、去年も一緒にトークショーをやったので、会場について三浦さんが僕を見つけると「やあやあ!ひさしぶり!」と気軽に声をかけてくれるのがとても心地良い。僕の中では尊敬する作家さんですが、三浦さんは実にフランクに色んな話もしてくれるし、服の好きな雰囲気も近からず遠からずで、プロダクトとクリエイティブのバランス感覚も良く、話していて楽しい!「なんだ!お前たちは絵本が共通キーワードだろ!」などと思われる方もいらっしゃるでしょう。それは当たり前過ぎるキーワードで、わざわざそんな話をしなくてもわかりあえているのです(三浦さん、そうですよね?)。

今回は、去年の各務原市中央図書館での2人のトークショーを聞いてくれていた名古屋芸術大学の講師の先生からのオファーで実現した企画。しかも、キャンパス内にあるギャラリーで「こどもアイデンティティー」という企画展(10/21〜11/2)での特別講演です。

絵本作家ではなく、作家である三浦太郎。

今回のテーマは「絵本の可能性〜こども・出版・クリエイティビティ〜」と題しての講演会。なんだか小難しいイメージを持たれるからも知れませんが、いたって単純明快。

「三浦さんは何故モノ作りをしてるの?」
「三浦さんは何故子どもに向けて発信しているの?」

こんなことを三浦さんが用意したスライドを見ながら話すという、とてもリラックスしたラフな空間。と言っても会場は大講義室ですが……。

最初に三浦さんを「絵本作家」と書かなかったのは、「今」の三浦さんは「絵本作家」という枠に留まることなく活動されているからです。三浦さんは「絵本作家は絵本だけを描かなきゃいけないの?もっと色々な表現方法をやってもいいのでは?」と言う方。今回も何度も仰ってました。

確かに、現在の絵本作家と呼ばれている方々は、読み聞かせやワークショップをやったり、音楽ライブをやったり、絵本を創作する以外に多義にわたり活躍されている人も多いのですが、三浦さんの言う「もっと色々な表現方法」というのは作品のことであり、これらの活動とは一線を画していると思います。正解はありません。どの活動方法が正しいか否か?などということは時代性もあったりしますので、そこは好みとしか言いようがありませんが、僕は三浦さんの考えや行動には大いに賛同するところです。

ブレないもの、それは「子ども」。

つまりは、「何かを創りたくてしかたない人」なのです。では、そこで何を創作しようが自由ですが、三浦さんは1本の筋を通している。それは「子ども」をモチーフにしたり、キーワードにするということ。「子ども」たちにも届けるということ。何をどう創作しようが、「子ども」からは離れないこと。

今回の講演会でその三浦さんの「子ども」へのこだわりを十分に聞けたことは、僕にとって、とても良かったなぁと思いました。普段、本からでも伝わってくる「子ども」へのこだわりが、実際に本人の口から聞けたことは大きく、そして、これから、「絵本作家」としてだけでなく、「作家」として三浦太郎がどうなっていくのか?とても興味深いところ。

三浦太郎の実家は愛知県の本屋さん、三輪丈太郎の実家は愛知県の本屋さん、作家とそれを売る書店員。名前も立場も似たところもあれば、全く立ち位置の違う2人ですが、別れ際に「またね!1年に1回、こんな会があってもいいかもね!」と話せたのはとても嬉しきことでした。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴40年、メルヘンハウス歴2年のかなり遅れてきたルーキー。

 

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営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

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