第31回「お花の色は何色?」

教材として花を植えているのではない。

メルヘンハウスの入口には、一年を通して大きな鉢に花が植えてあります。季節に応じていろいろな花でお客さんを迎えたいというスタッフの思いです。

真っ赤なペチュニアが咲いていた頃のことです。そこを通りかかった母子が立ち止まって話していました。3才前後の女の子が「ママ、この花きれい かわいい!」と、うれしそうに言いました。スタッフの思いが通じたとうれしく思っていると、母親の次の言葉で子どもの顔が曇りました。「この色は、何色?そうね、赤ね。こちらは白で、こっちは緑ですよ」鉢の中を指さしながら、きつい調子で色を教えているのです。悲しい気持ちになりました。image1

私たちは、教材として花を植えているのではありません。美しいものを見て感動する心を大事にしてほしいのです。この子の気持ちをフォローするように、またお母さんにもわかって欲しく、「本当にきれいだね、本当にかわいいね。」と、母親にはちょっといやみに映ったかもしれませんが、この子に話しました。ちょっと笑顔が戻りました。image2

「本で何かを教えよう」と考える大人

これと似たような光景が店内でも見られます。本を読むということは、非日常の世界に出かけ、いろいろなものに出合い、心から感動したり、楽しく感じたり、時には深い憤りや悲しさに打ちひしがれたりすることです。店内に用意された木の切り株に腰掛けて夢中になって本を読んだり、胸に抱きしめる子どもたちを見るにつけ、その意を強くします。image3

ところが、子どもたちと本とのいい関係も、「本で何かを教えよう」と考える大人が介在すると、とたんにつまらないものになってしまいます。一時こんな質問をよく受けました。

「子どもの本専門店なのに、なぜ学習参考書を置いてないの?」

私たちは、本と参考書は全く別のものと考えています。もちろん勉強は大事ですが、目に見えない心を育てることの大切さを忘れてはいけないと思います。

子どもと気持ちを共有する。

ペチュニアの鉢の前のお母さん「きれいね、かわいいね、ママもそう思うわ」と、言葉を置き換えたら、子どもの喜びはきっと大きくなると思いますが、いかがでしょうか。子どもが夢中になって読む本を前に、「面白そうね。私も読んでみようかしら」と問いかけてみたらいかがでしょうか。子どもの笑顔が広がること請け合いです。

代表 三輪哲

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おすすめ情報

お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

絵本の読み聞かせ、紙芝居など、楽しいイベントを定期的に開催しております。

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