第5回「生きること、表現すること」

久々に会う征三さん

僕が田島征三さんに会うのは本当に久しぶり。おそらく20年ぐらい前に何かのイベントで会って以来です。しかし、そのときは別に征三さんに対して何か特別な思い入れがあったわけでもなく、ただの”絵本作家”として征三さんを見ていたと思います。

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会場の後ろではお料理教室が!

今回、メルヘンハウスの店内に田島征三コーナーを作り、SNSを通して征三さんに僕の思いを届けました。すると、すぐに征三さんからメッセージが届き、関連している様々なイベントのお知らせを大量に送ってくれたのです。その中にながくてアートフェスティバル(10/19で終了)の一環として開催される講演会、「ふしぎなアーティストと僕」のお知らせもありました。
「これは行かねば!」と、田島征三コーナーにあるありったけの本を持って出張販売へ行ってきました。

絶賛出張販売中

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 アール・ブリュットってなに?

会場について準備してしばらくすると、征三さんがやってきました。久しぶりというより、はじめましてという挨拶を交わし、簡単に会話をしたぐらいで講演会がスタート。今回のテーマはアール・ブリュットについて。僕は恥ずかしながらこの言葉を初めて耳にしました。
アール・ブリュットとは、フランスの画家ジャン・デュビュッフェが提唱したもので、文化的な伝統や社会的規範などにとらわれずに作られた作品と位置づけされているようですが、征三さんは「生の芸術」と言っていました。20年以上前に発表された『もりへさがしに』(偕成社)の制作時のことなども含め約1時間半の講演会。すごくパワフルな時間がサーッとあっという間に、しかし、重く心に残る時間でした。

征三さんの話は面白い!

アール・ブリュットは一般的に精神病など障がいを持っている人たちのアートと認識されているが、果たしてそうなのか?という疑問。征三さんは健常者と障がい者のボーダーラインはどこに?と問題提起をされていました。自分も作品を作るときに無心(何も考えていない)のときがあり、それは文化的な伝統や社会的規範などにとらわれずに作られた作品であると。そして、「生きているうちに評価されるのは時代に合わせている(合っている)。」という解釈。今の世の中での評価の価値を根本から考えさせられる話ばかりでした。

前日深夜まで飲まれていたそうで・・・

前日深夜まで飲まれていたそうで・・・

やっぱり生きることって

僕が今、田島征三さんにお熱をあげているのは、おそらく「生きる」ということをここまでパワフルに表現している人もいないなぁと思うからだと思います。世の中は進化しているけど、人としてどうなの?と首を傾げることが多い今、僕のような子どもの本専門店で働く者に出来ることはなにか?とよく考えます。恩着せがましいことは思いませんが、子どもたちには単純に絵本の世界を楽しんでほしいと思います。ただ、何年か経ってちょっと大人になったとき、「あれ?あの本の内容ってまさか・・・」と時代とリンクしてくる本が必ずあるはずです。そんな本を子どもたちに一冊でも多く出合う機会を作ってあげたいと強く思います。僕のなかでは今まさに『しばてん』(偕成社)がそんな本なのです。

おしまい

本文中でご案内した『しばてん』(偕成社)は購入いただけます。

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しばてん
田島征三/作
偕成社
(4才ぐらいから)

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