第130回「生活の中に本を溶け込まそう!」

お久しぶりにシマウマ書房へ

あけましてあめでとうございます!年末年始はあっという間に過ぎ去り、正月気分を味わうことはあまりありませんでした。正月と言っても、昔のように三が日はお休みの店舗ばかりでもなく、元旦もスーパーで食材が買える世の中。正月らしい街の静けさも年々薄れているのでは?と思いますが、皆さんはどうですか?

先日、久々にシマウマ書房に行きました。名古屋の本山という、元々メルヘンハウスがあった街にある古本屋さんです。ブックマークナゴヤでもお世話になっているのですが、なかなかお店に行くことができず、実に3年ぶり以上にお伺いしました。いやぁ、良いですよこのシマウマ書房の佇まいが。照明加減、店内の広さなどがちょうど良いのです。古本屋というと色々なイメージを持たれると思います。老舗の殺風景に所狭しと積み上げられた本屋、カフェも併設した最近のオシャレ本屋などなど。しかし、シマウマ書房は本筋を行きながらも素人と玄人までを楽しめるラインナップで、しかも埃っぽくない。なんとも言えない店内の柔らかさが好きです。

店主の鈴木さんとあーだこーだと話しをして、野暮用があったので店内をゆっくり見ることもなく、その日は何も求めず出たのですが、とても寒い日の閉店間際でしたが、良い時間を過ごせました。本屋にいる時間は「良い時間」でありたいと思います。緊張感もなく緩やかで穏やかな時間が流れていてほしい。そんな思いがあります。メルヘンハウスもそうでありたいと思いますが、そうでありながらも、「子どもの本専門店」ですから、賑やかもあると良い。訪れてくる人が何も目的がない日があっても良い。ただ眺めているだけで良い。その中で偶然に出合えた本を手にして、何だかワクワクしてくれたら尚更良い。そんなお店づくりをしていきたいと常日頃から思っています。

本を読む時間はどうしてますか?

「本を読むのは大変!」
「子どもに本を読んであげたいけど時間がない」

など、お客さまとの会話でよく出てきます。確かに仰る通り。少し前までは通勤、通学で本を持ち歩いていたことでしょう。しかし、スマホの普及でそのライフスタイルも変わりました。ライフスタイルも変われば本との接し方も変わります。当然のことです。そのことを否定したところで何も始まらないわけです。

僕は仕事柄、お店でも本を読みますし、家でも息子と一緒に絵本を読み、自分の読みたい本も読む。大きく分けて3つのスタイルで本を読む時間を楽しんでます。

お店で読む分は仕事です。お客様にご説明できるように、新刊など見たり、他のスタッフがお客様に紹介していた知らない本を後からチェックしたり、はたまたお客さまから教えてもらったり、本に関してまだまだ勉強不足の僕としては、もっともっと本に触れて開いていかねばなりません。

家に帰れば、1歳半になる息子がお気に入りの絵本を持って、僕の膝にやってきてちょこんと座ります。最近のお気に入りは『ぶーぶーじどうしゃ』(福音館書店)と『はらぺこあおむし』(偕成社)です。「毎日読んで飽きないのかな?」と思うぐらい毎日です。この2冊と朝の『おはよう』(グランまま社)、お風呂前の『ぽぽんぴ ぽんぽん』(福音館書店)もしくは『わにわにのおふろ』(福音館書店)は毎日欠かせません。ここでも息子から絵本の楽しみ方を学びます。「ワンワン!」と小さく描かれた犬を指差してみたり、蝶々のことを「ちょーち」と何度も言ったり、子どもの感性に毎日驚かされます。

夜の寝る前の少しの時間は、僕の読書の時間です。最近、昼休みにメルヘンハウスのご近所書店のちくさ正文館さんで本を買う機会が多く(興味深い本が多く、ついつい買ってしまう)、今は5冊の本を読んでいます。各1冊ずつ、1章とか10ページとかの単位でちびちび読むのです。この読書法が飽き性の僕にとってはとても良いようで、本を読むのが寝る前の楽しみになっているのです。

「読み切らないといけない」プレッシャーから解放される。

「本を上手に読めない!嫌い!」

なんていうのは、分厚い1冊の本を「読み切らないといけない」というプレッシャーもあったりします。僕も相性の良い本であると、最初からノンストップで最後まで読めるのですが、最初でつまづくとそうもいきません。そのまま読まずに放置という本もたくさんありました。そこで、色々な本を同時進行で読んでいくこの方法が僕のようなタイプに合っているように思えて始めたのですが、大正解でした。今では、寝る前に本を開かないと気持ち悪いぐらいになりました。

本は読まなくても、生きていけます。ただし、本がある生活は「何か」を豊かにしてくれます。最近読んだ橋本治さんの『大不況には本を読む』(河出文庫)の中の一説に「行間を読む」とありました。本と言うのはむしろ、書いていないことを読み取ること大切であり、手取り足取り全部書いてあるような本はダメであるとも書いてありました。僕はなんだか共感しました。「行間を読む」、それは想像したりすること。その世界に入っていくことであると思います。児童書も一緒です。心情、風景、匂い、質感など本を開くことでどれだけ「感じる」ことができるか?

「本」の可能性は、それ自体が生活の一部に成りうるのか否か?ということだと思います。子どもの本もギフトという側面もありますが、もっともっと手元にあることが当たり前にならないかなぁと思います。今年45年目のメルヘンハウスにいてもこんな感想を持つのです。ややこしい言い回しですが、、読書が特別に楽しい時間でありながらも、その時間は当たり前に毎日あるのが理想です。

おしまい

三輪丈太郎
1975年名古屋生まれ。生まれた時から子どもの本専門店の息子という肩書きが嫌で、ここ最近までは全く児童書に関わりのないフィールドに生息。ある日、大尊敬する人から「メルヘンハウスって良いと思う児童書をセレクトして置いているんでしょ?それって、良質なDJと一緒だね!」と言われたことがキッカケでメルヘンハウスに入社することを決意。メルヘンハウスの息子歴40年、メルヘンハウス歴2年のかなり遅れてきたルーキー。

 

 

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営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

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