花山かずみさん – 『ひみつのかんかん』

花山かずみ さん(自画像)

  私の初めての絵本は2010年の、枕が持ち主と一緒に夢を見る『まくらのマクちゃん』(徳間書店)ですが、それ以前から温めてきたのがこの作品『ひみつのかんかん』です。

 きっかけとなったのは小学生の頃のある事件です。その日、私は祖母の家の居間で古いアルバムの入った蕎麦ぼうろの缶を発見しました。アルバムの最初の写真はおさげ髪にセーラー服の女の子で、下に「春子十四歳」と書いてあります。それは子どもの頃の祖母でした。とっても複雑な気分。

 だって目の前の真っ白い髪の「私のおばあちゃん」と、黒髪をおさげにした春子という子が同一人物だなんて、おばあちゃん子の私にとっては衝撃的な事件です!次ページには両親や兄姉と一緒の家族写真、友達との集合写真が続きました。「おばあちゃんは春子という名前で、子どもだった」当たり前のことに気付いたのでした。

 お祭りで山車を引いたこと、悪戯をしてお蔵に入れられたこと、裏の池で大きな鯉を釣ったこと等々、祖母が話す子ども頃の話はキラキラしていて私はそれを聞くのが大好きでした。

 元・子どもだったおじいちゃんおばあちゃん達の魅力を知ってもらう本を作りたいなぁと始まった作品作りですが、何度も壁にぶち当たり試行錯誤を繰り返しました。中でもいちばん大変で、興味深かったのは祖母が子どもの頃の家庭生活調査です。

 繁華街の賑わいの程度から台所の調理器具の片付け方等々、フツーの生活の資料が見つかりません。知人、友人、図書館に博物館、「探しています!」と言って回っていると、いつの間にか情報が集まりだしました。昭和初期の駄菓子の資料、当時の食器や着物を扱う店、古いゴミ箱がある通り、祖母の女学校時代の会報誌まで。たくさんのご縁で隅から隅まではるちゃんの子どもの頃が再現できました。お話ももちろんですが当時のフツーの生活は、元・子どもには懐かしく、現・子どもには新発見です!どうぞタイムスリップをお楽しみください。

プロフィール
花山 かずみ(はなやま かずみ)

千葉県生まれ。女子美術大学産業デザイン科卒業。建築設計事務所、デザイン研究所勤務後、ワークショップなどで絵本を学ぶ。他の絵本作品に『まくらのマクちゃん』(徳間書店)がある。

ひみつのかんかん : 花山 かずみ
花山 かずみ / 作
偕成社

ひいばあちゃんの部屋から転がってきたビー玉を拾った女の子。お礼にひいばあちゃんから、たくさんの思い出と秘密が入った宝物の缶かんを見せてもらいます。遊び心いっぱいの絵とともに、ひいばあちゃんと女の子の温かな触れ合いを描いたほのぼのとした絵本。

対象年齢 : 5才ぐらいから
1,200円 + 税 購入する
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お店のご紹介 詳細

営業時間
午前10時~午後7時まで
定休日
毎週水曜日
住所
〒464-0850 名古屋市千種区今池2-3-14
JR・地下鉄東山線 千種駅徒歩5分
※駐車場は店の裏手に5台
詳しいアクセス
TEL
052-733-6481

選びぬかれた絵本や童話を常時30,000冊揃えて、みなさまのご来店をお待ちしております。

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