子どもに学ぶ
本の読み方

子どもが教えてくれました。ほんとうの本のおもしろさ!
好評連載 子どもに学ぶ・本の読み方(184回)
『クリスティーナとおおきなはこ
(5才ぐらいから)

P・リー・ゴーチ 作
D・バーン 絵
おびかゆうこ 訳
偕成社
1300円+税
 子どもたちは、ダンボールで遊ぶのが大好き。担任をしているときは、大きなダンボールが手に入ると、保育室やテラスに持ち込んで、子どもたちが自由に遊べるようにしていた(保育園では、運動会や発表会の前になるとダンボールが欲しくて、スーパーにもらいに行くことがよくあります)。結局最後はボロボロになって捨てることになるのだけれど、それまでは家になったり、車になったり、テーブルになったり、つい立になったり、一人静かに入るだけのものになったり……。でも大人にとってはただの空き箱であり、資源ごみなのです。
 その大人にとってはただのガラクタとしか思えないものを、せっせと集めている女の子、クリスティーナの家に、ある日、大きな冷蔵庫が届きます。それを見て「まあ、なんて大きいのかしら」と喜ぶお母さんと「わあー、こんな大きな箱、見たことない」と喜ぶクリスティーナが、同じポーズで描かれている。私の気に入っている場面です。
 箱を捨てようとするお母さんと、遊ぶために捨てさせないようにしようとするクリスティーナのやりとりがおもしろく描かれている。この2人の様子が、子どもたちは大好きです。でも、なんといっても、子どもたちが好きなのは、隣に住んでいる男の子ファッツです。
 2年生のはなちゃんは、ファッツがお城を壊したり、ダンボールをつぶしてしまったりするのに呆れ顔。最後に床に水をまいてモップでごしごしこする姿に「はぁ〜」って深いため息をついていた。年長さんや1年生の子たちと読んでいた時は、子どもたちは笑いが止まらなくなって「ファッツ、だめだな」と言うので「こういう子っているよねー」と私が言うとじゅんくんが「なに?ぼくみたいって言いたいわけ?」と返してきたので笑ってしまいました。
 このお話はアメリカの多くの教科書に掲載されてきたと解説に書かれている。でも、教訓的なところはなく、クリスティーナが大きな箱からいろんなことを想像して、自分でアクティブにそれを実現させていくところがいい。そして、壊されても、なくなっても気にしないで、次のことを考える子どものたくましさに憧れさえ感じる。箱を目の前に真剣に考えるクリスティーナの姿を見て、片付けるのを先延ばしにしてくれるお母さんと、クリスティーナの思いを実現させるためにちょっとだけ手を貸してくれるお父さん、そんな大人が登場することで、子ども時代を精一杯に生きる大切さが伝わってくる気がする。
 この本を読むと大人でも、資源ごみに出すダンボールを持ち出して、ちょっと遊んでみたくなってしまうのでは?
                  (保育士 M・Yさん)


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